2020年12月10日には、東京ビッグサイトを会場とする同人誌即売会等の主催団体が事務局となっているDOUJIN JAPAN 2020から『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行下における同人誌即売会の開催ガイドライン』が公開され、C99はこのガイドラインに基づいた感染症対策を前提として、さらに開催準備を進めていくことになりました(なお、このガイドラインは、大規模な同人誌即売会を主に想定したものです。これは、規模の異なる同人誌即売会全体に統一的なガイドラインを作ることは難しく、また、大規模同人誌即売会の想定する様々な感染症対策が、小規模な同人誌即売会にはオーバースペックとなって負担とならないように、という配慮もありました)。
2021年5月以降は、東京ビッグサイトでの複数の同人誌即売会が無事に開かれており、多くのサークルや参加者が再び集まるようになりました。特にDOUJIN JAPAN 2020の各幹事団体の主催の同人誌即売会は、DOUJIN JAPAN 2020の感染症対策ガイドラインに基づいて開催され、クラスターの発生もない運営が行われました。しかし、夏の段階では東京都に4回目の緊急事態宣言が発出中で、デルタ株の市中感染が急速に拡大している状況でもあり、政府や東京都の定めるイベントの開催制限についても未だ収容率や上限人数に制約があり、会場の定めるガイドラインも厳しいものとなっていました。
この2年間、コミケットもDOUJIN JAPAN 2020事務局の一員として、政府との様々な話し合いに参加したのですが、最初のハードルは、「同人誌即売会を所管するのは、どの官庁なのか?」というそもそもの問題でした。展示会業界を所管するのは経済産業省であることは以前より決まっていたのですが、産業としての同人誌即売会は、これまで官庁とのお付き合いはほとんどなく、むしろ避けてきたところすらあります。コロナ禍に直面するにあたり政府へ支援をお願いしようにも「窓口はどこなのか?」という問題が生じたわけです。こちらについては様々な調整の結果、文化庁が所管ということになり、例えば、前述のDOUJIN JAPAN 2020として定めた「新型コロナウイルス感染症流行下における同人誌即売会の開催ガイドライン」の担当官庁になっていただいていますし、ARTS for the future!(コロナ禍を乗り越えるための文化芸術活動の充実支援事業)においても、同人誌即売会を支援対象としていただいています。また、J-LODlive(コンテンツグローバル需要創出促進事業費補助金)は、経済産業省が所管ですが、同人誌即売会を支援対象に含めていただきました。こうした取組にあたっては、山田太郎参議院議員、藤末健三参議院議員の働きかけが大きく力添えになりました。
コロナ禍において、山田・藤末両議員には、折に触れ関連産業を含めた広く同人誌業界の苦境に心配りをいただきました。加えて、お二人が所属されている超党派のマンガ・アニメ・ゲームに関する議員連盟(会長:古屋圭司衆議院議員)へは、DOUJIN JAPAN 2020事務局として、度々陳情を申し上げ(2020年3月、10月、2021年3月、9月)、それぞれの時点での同人誌業界の実情や要望をご説明し、2020年10月には、坂井学内閣官房副長官(当時)、2021年4月加藤勝信内閣官房長官(当時)へ申し入れをする機会をいただきました。
特に、藤末健三議員には、2021年8月にDOUJIN JAPAN 2020が主催し、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室をはじめとする関係省庁・自治体にご参加いただいたラウンドテーブルの開催に多大なご協力をいただきました。この会議がきっかけとなり、新C99におけるワクチン・検査パッケージの技術実証への参加が実現することになり、新C99を開催できる見込みが大変明るくなりました。
また、山田太郎議員には、新C99開催直前に関係省庁との会合を設けていただき、2021年GWの緊急事態宣言発出に伴う同人誌即売会の開催中止のようなトラブルが新C99で起きないようにと、対処の枠組みを作っていただきました。
この他、東京都への申し入れでは、鈴木晶雅都議、荒木千陽都議に大変お世話になった他、栗下善行都議(当時)には、東京都及びその関連する展示会場において、新型コロナウイルス感染症の影響で中止となったイベントへの会場費返還の実現にご尽力をいただきました。
このように様々な形でコミケットだけでなく同人誌業界の支援にご尽力いただきました関係各位、関係省庁、東京都、東京ビッグサイトには厚くお礼申し上げるとともに、共に交渉にあたったDOUJIN JAPAN 2020事務局の各即売会主催団体にも感謝いたします。