コミックマーケット96アフターレポート


会場
東京国際展示場東京ビッグサイト
全館

会期
2019年8月9日(金)〜12日(月)

サークル数
参加サークル数 3万2千


入場者数
 9日(金) 16万人
10日(土) 17万人
11日(日) 20万人
12日(月) 20万人


更衣室登録数
 男性女性
 9日(金)1,124人2,815人
10日(土)1,564人3,264人
11日(日)1,656人2,599人
12日(月)1,570人2,294人


コミケット公式発行物
コミックマーケット96カタログ(表紙、加藤さやか)
コミケットプレス50(表紙、羽柴麟)
紙袋(大)nocras・(小)望月けい


出展企業数
128社


マスコミ取材
 コミックマーケット96取材申込一覧

(2019年9月21日データ部分公開)


【オリンピック・パラリンピックへの対応】

 東京オリンピック・パラリンピックの開催に伴う利用制約によって、来年GWまでの3会期、1)東展示棟が使用できないこと、そのために2)新しくできた仮設の青海展示棟に企業ブースを置き、3)従来からの西展示棟に加えて、以前は屋外展示場があった場所に新しく建てられた南展示棟にサークルを配置する形となったこと、4)その南・西展示棟だけでは、従来の約7割の面積しか確保できないため、この3会期は会期を1日延ばして、4日間開催という形を取ったことは、既に何度もお伝えしてきた通りです。
 その結果、のべ来場者数は73万人。これまでの最高の数字を大きく更新したコミケット史上最大の規模となりました。もちろんこれは複数日参加されている方が多数おられることを考えれば、当然と言えば当然の数字と言えます
   

【4日間のジャンルと南展示棟】

 4日間開催ということで、曜日毎のサークルのジャンル構成も大きく見直し、1日目に主にゲーム系、2日目は主にアニメ・ゲーム系、3日目は男性向(主に創作系)、創作(少年)・創作(少女)、ギャルゲー系、評論・情報、4日目は男性向(主にパロディ・二次創作系)、デジタル系、『東方Project』、鉄道・旅行・メカミリ、コスプレといったジャンルの配置としました。1日目は『FGO』、『艦これ』、2日目は『名探偵コナン』の人気が根強く続いています。いずれも原作の息の長い人気があってこその、パロディ・二次創作の盛り上がりだと思います。3日目は男性向と創作(少年)で西地区は激しい混雑となり、4日目は混雑するジャンルが各ホールに分散したこともあり、まんべんない混み具合となりました。デジタル(その他)には若い参加者や女性の姿が多いのも大きな特徴のひとつです。
 男性向を2日間に分けて配置したことについては、様々なご意見をいただき、そうした声が上がることも承知はしていたのですが、現実問題として男性向で申し込んでいる混雑サークルを同じ日にすべて配置するには、混雑したり搬入が多かったりするサークルを配置できる壁も出入口も絶対数が不足しており、会場内外の安全を考えるとこのような対応を取らざるを得なかった、ということはご理解をいただけますと幸いです。
 新しく建てられた南展示棟については、40年以上のコミケットの長い歴史において、最も冷房がよく効いたホールとして話題となり大好評でした。その一方で一般参加者のスムーズな入場のために、ホール間の移動に一定の制約をかけている時間帯があることもあって、西地区との行き来や上下間の移動については大変わかりにくい、というご意見もいただいており、冬に向け見直しを行っているところです。
 

【青海展示棟での企業ブース】

 有明会場とは一駅離れたりんかい線東京テレポート駅近という青海展示棟との分散開催という初の試みとなった企業ブースですが、トラックヤードがあまり広くないこともあって、混雑列をホール内である程度捌くことを前提にやや緩めの配置を行い、混雑面での大きな混乱はありませんでした。参加企業の傾向としては今回もVTuber関係の出展が多く盛り上がっていた他、オカルト雑誌として長く異彩を放つ「ムー」のグッズ販売、「おたくのやどかり」さんの縁日や「タニタ」さんの体脂肪測定など、ユニークな展示も話題となりました。青海展示棟については、事前の他イベントの状況から、携帯が繋がらない、トイレが足りない、コンビニがない、空調が効かない等々、ややネガティブ情報が先行した感が否定できません。開催に当たっては、携帯各社さんの通信対策が功奏したり、至近に仮設トイレを置いたり、ケータリングやドリンク販売を会場内外に設置したりと準備会も対策に努めました。また、こちらの冷房もかなり強力だったこともあり、結果、コミケットでは大きな問題とはなりませんでした。
 青海・有明間の移動については、ゆりかもめ・りんかい線を使った方が多かったようですが、会場側が運行した無料シャトルバスにもピーク時には乗車待ちの列ができていました。もちろん両会場間を歩いて行き来した人もそれなりにはいたようです。準備会としては、両地区を繋ぐセンタープロムナードを中心に往来の管理も行う新部署を立ち上げたのですが、そのためのスタッフの詰め所・控室の確保には周囲の企業・団体のご協力もいただきました。この場を借りてお礼申し上げます。各日午後の時間帯には「立つ鳥跡を濁さない」ようにと、公園のゴミ拾いも行いました。
 

【夏のコスプレと過去最高数の取材】

 暑さのせいで冬よりも夏の方が減りがちなコスプレイヤーですが、加えて今回は会場の大幅変更のために調整に時間を要し、コスプレエリアの決定が遅れた影響があったため(告知がカタログには間に合いませんでした)、日毎の更衣室での登録者数はやや減少しました。  防災公園では夏恒例の「有明防災フェア」が一般社団法人DSCとコミケット共催で開催され、防災に関する車両やパネル展示等が行われました。こちらへは、コスプレのままビッグサイトと行き来することができることもすっかり定着し、今回も多くのコスプレイヤーが撮影場所として、コスプレを楽しんでいました。
 その中で問題となったのは、囲みでの外国人コスプレイヤーへの不同意撮影でした。これまでも撮影者の方には、ルールとマナーを守っての撮影を呼びかけてきていますが、コミュニケーションが取れないことを悪用して同意を得ない撮影を行うのは、極めて不適切と言わざるを得ません。今までもコスプレイヤーからの要請があれば、準備会としても状況に対応してきたのですが、次回以降は問題が起こりそうなときは早めに止めに入っていく方針で、そのやり方を現在調整しているところです。
 また、故意に衣服をめくるなど過度な露出や羽目を外し過ぎたポーズが一部に増えて、良くない意味でも話題になってもいます。とはいえ、自粛や萎縮を招くようなルールを安易に作ったり増やしたりして、変に風紀委員的な色合いが強まるのも決して好ましいことではありません。まずは、マナーを守っていただくことを強くお願いしたいと思います。
 コスプレのままでの青海・有明間の行き来や、移動中のコスプレ撮影は他の公園利用者の迷惑や通行の妨げにならない程度の記念撮影程度であれば問題ないというアナウンスは事前から行っていたのですが、初めてのことでもあり実際に行き来された方はそれほど多くはなかったようです。次回冬と来年のGWについては、従来のビッグサイト会議棟の更衣室に加えて、新たに東京ファッションタウンビル(TFT)も借りて更衣室等を設置します。TFTの更衣室は入場待機列に並ばなくても利用可能となるため、この冬のコスプレ先行入場は行いません。従来とは違った形でコミケットでのコスプレを楽しんでいただければと思いますので、今後の準備会からの情報提供をお待ちください。

 取材に関しては、「平成最後」という別話題があったせいか、やや少なめだった昨冬とはうって変わり、400件を超える過去最高の登録件数となりました。世間で大きな事件もなかったこともあって、いわゆる遊軍的なTV取材がコミケに集まり、開催中から開催後にかけてワイドショー的な番組を中心に様々な映像が流れました。来年の東京オリンピック・パラリンピックが真夏に開催されることへの注目もあり、コミケットでの熱中症にフォーカスを当てた取材が、いつも以上に多かったように思います。

【スリの逮捕と手荷物確認】

 そして、大変残念なことですが4会期連続でスリの現行犯逮捕がありました。準備会としては、カタログの諸注意ページ、公式Twitter、当日の館内放送、手持ち看板を掲示したスタッフの巡回、このアフターレポートと、事前から当日まで様々な形で繰り返し「スリ・置き引き注意」の注意喚起を行っていますし、当日は実際に多数の警察官(私服の方も当然います)が会場内を巡回し、毎回逮捕者が出ているのですが、それでも、犯罪者の間でお金を持った人が多く集まる混雑したところとして悪い意味で認知されているようです。毎回の繰り返しとなりますが、他のことに気を取られている時、気が抜けている時などが狙われやすく、ズボンの後ろポケットに差した長財布、口の開いたバッグ(特にリュックサック)が危険です。皆さん自身による自衛も重ねて強くお願いします。
 また、近年継続している入場待機列への手荷物確認ですが、東京オリンピック・パラリンピックの開催が近づいていること、直前に京都アニメーションへの放火事件が起きたこと等もあり、警察からの一段と強い要請をいただくことになり、急遽一般参加者入場後も手荷物確認を継続しました。参加者の皆さんのご協力に改めて感謝いたします。

【リストバンド型参加証の導入】

 さて、今回の大きな変更点のひとつとして、一般参加者の入場にはリストバンド型参加証の着用をお願いすることになりました。これは、分散開催や4日間開催に伴う経費増や会場縮小に伴う収入の減少を補うものとして、一般参加者の皆さんにも一定のご負担をお願いするために導入したものです。冊子版カタログには4日間のリストバンド型参加証が付属していますが、DVD-ROM版カタログにはリストバンド型参加証の付属はなく、ご批判もいただきました。これは、冊子版は制作・販売がコミケットであるのに対し、DVD-ROM版は制作・販売が共信印刷であるという違いに起因します。つまり、DVD-ROM版については、コミケットはその売上の一部を共信印刷から得ている形となっています。このような位置づけの違いもあって、DVD-ROM版カタログにはリストバンド型参加証を付けることが非常に難しいということをご理解いただけますと幸いです。
 リストバンド型参加証につきましては初めての試みで準備会としても読み切れないところもあり、取扱店書店・専門店からの冊子版カタログの注文も前回までより部数が増えたものの、事前分は直前には完売となりました。これに続いて一部専門店で日ごとの単品販売していたリストバンド型参加証の事前分も3日目・4日目分については売り切れとなってしまいました。一般参加者の皆さんにはご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。

【3日目の一般参加者の入場についてのお詫びとご説明】

 最後に3日目の一般参加者の入場についてのお詫びとご説明をさせていただきます。一部当日のご説明とは異なる部分もございますが、状況をその後再確認した上でのご報告とご理解ください。
 この夏からの3回の開催においては、東展示棟の利用制約に関連して東駐車場の3分の2が使えず、一般参加者の待機列を並べるところが大きく減ることが従前よりわかっておりました。そのため、シンボルプロムナード公園内の青海展示棟前の夢の広場〜出会い橋〜セントラル広場の一部〜ウエストプロムナード大半を利用して青海展示棟の待機列形成を行うことで、一昨年より関係各方面と調整を行ってきたのですが、東京オリンピンク・パラリンピック関連イベントが夏コミ開催の2ヶ月前に決まる等、直前になって予定していた場所のかなりの面積が使用できなくなりました。この結果、従来から行っている会場内の共用部への前倒し入場の時間を更に早めたり、青海展示棟の一般待機列を一旦有明側に伸ばさざるを得なかったりと、待機列の形成、リストバンド型参加証販売所の設置場所の見直しなど、準備してきていた当初の想定案を大きく変える難しい対応を行うことになりました。
 1日目、2日目は一般参加者の数もさほど多くはなかったので、問題は生じませんでした。また、早い段階でリストバンド型参加証による入場規制も解除いたしました。しかしながら、3日目は想定以上の一般参加者が来場しました。2日目までに冊子版カタログは当日分も完売したものの、バラ売りの3日目のリストバンド型参加証については会場販売分も在庫が残っていました。こうした販売状況にもかかわらず、3日目は早朝から想定を超える来場者があり、売場によって差はありますが、9時前後にはリストバンド型参加証が完売しました。この当日のリストバンド型参加証購入のための待ち行列も想定を超える長さとなり、一般参加者待機列の管理を複雑化させる要因ともなりました。加えて一般参加者が増える時間において、横断歩道にかかる場所でコミケットとは無関係な自動車の交通事故が発生し、ゆりかもめ東京ビッグサイト駅からの待機列への移動経路が一時的に使用できなくなる事態も発生しました。
 こうした様々な事態を受けて関連担当部署が協議し、一般参加者の待機場がプロムナード公園 (イーストプロムナード・センタープロムナード・夢の大橋等)の今回借用できたエリアだけでは不足すると判断し、一般参加者全体の安全のためには、緊急策として用意していた、待機場所とは離れた場所にある東駐車場を待機場として一時的に使用する対応を実施することになりました。
 また、待機時間が長くなる可能性を鑑み、気温が高い中で傷病者を最小限にするために、早期に入口でのリストバンド確認を一時終了し、入口を複数設けることが最良であるという判断を行い、11時に入場規制解除の場内放送を行いました(入場規制解除という単語だけでは意図が伝わりづらい可能性を鑑み、ツイートでの告知は行いませんでした)。
 本来であれば、リストバンドを付けた方を優先させるべきであるとは重々承知しておりますが、上記の待機場所の不足という事情の変化もあり、まずは一般参加者全体の安全を優先した次第です。
 しかしながら、東駐車場からの経路は、鉄鋼脇道路(注:東123ホール裏の道路)を出たところの横断歩道を渡る必要があること、庭園の上にあるキャットウォークの導線が細く、幅を広げられないため流量を増やすことができず、これもまた想定よりも大幅に入場に時間がかかることになってしまいました。これにより東駐車場での長時間の待機が発生し、後からイーストプロムナードなどに並んだ参加者の方が「並び直した方が早く入場できた」という事態が発生してしまいました。
 さらにこの3日目の緊急対応では、東駐車場は待機場として一時的な利用を想定しており、長時間の滞留を想定していなかったため、飲料販売ブースや場外救護テントを設置しておりませんでした。また、東駐車場までのルートにも水分などの補給が必要な一般参加者が多数いたため、具合が悪くなりそうな人向けに用意していた補給を、充分に東駐車場に届けることができませんでした。そして、東駐車場において熱中症等の傷病者が発生し、5名の方が救急搬送されました。ご迷惑をおかけした参加者の皆様に、心よりお詫び申し上げます。また、東駐車場で待機されていた参加者のみなさんからは、応急手当や救急搬送に多大なご協力をいただいたことに、改めてお礼を申し上げます。
 最終的には、13:30頃には東駐車場の待機列が解消し、最寄り駅から待たずに入場できる形となりました。
 こうした事態を受けて、4日目は再び同じようなことを東駐車場で引き起こさないよう、関係部署間で調整を行いました。飲料販売を行う業者の手配、救護ブースの設置とそのための資材と人員の確保と再配置、東駐車場運用スタッフ増員のための配置変更などを決めるとともに、3日目の夜には公式Webサイトにて緊急告知を発表し、4日目に来場する一般参加者の方々に対して対策のお願いもアナウンスしました。幸いにも4日目は天候も曇りだったこともあり熱中症の発生はほとんどなく、東駐車場からの列形成を早めに行って移動させたこともあり、必ずしも充分ではなかったかもしれませんが、前日のような事態には至らずにコミックマーケット96を終えることができました。
 今回の事態につきましては、ご迷惑をおかけした参加者の皆さんに、重ねて深くお詫びを申し上げます。
 冬コミにつきましては、関係各方面への働きかけを行い、新しい待機場所を確保することができました。また上記の通り、夏コミ当日のリストバンド型参加証の購入行列が想定よりも長くなったことも問題点のひとつですので、事前販売のリストバンド型参加証の数を充分用意し、一般参加者の皆さんには開催前に店頭あるいは通販での事前購入を強くお願いしていきたいと思います。併せて、できる限り当日の待機列をシンプルにするため、待機列の形成方法の見直しを行っている最中であることも申し添える次第です。
 準備会の対応につきましては、ご意見も多々あると存じます。「コミックマーケットは、同人誌を中心としてすべての表現者を受け入れ、継続することを目的とした表現の可能性を拡げる為の『場』である」ことを今一度振り返り、不備・問題点については真摯に反省を行い、引き続き継続的な改善を行ってまいります。ご迷惑をおかけした参加者の皆さん、本当に申し訳ございませんでした。

(2019年10月24日本文公開)


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[Since: Sep.21 2019] [Last updated: Oct. 24 2019]