コミックマーケット95アフターレポート


会場
東京国際展示場東京ビッグサイト
全館

会期
2018年12月29日(土)〜31日(月)

サークル数
参加サークル数 3万5千


入場者数
29日(土) 17万人
30日(日) 19万人
31日(月) 21万人


更衣室登録数
 男性女性
29日(土)2,505人6,753人
30日(日)3,409人7,984人
31日(月)2,237人3,072人


献血数(防災公園を含む)
29日(土) 622人
30日(日) 602人
31日(月) 523人


コミケット公式発行物
コミックマーケット95カタログ(表紙、ワダアルコ)
コミケットプレス49(表紙、Kazeto)
紙袋(大)晩杯あきら・(小)タキザワアスカ


出展企業数
165社


マスコミ取材
 コミックマーケット95取材申込一覧

(2019年1月11日データ部分公開)


 アフターレポートの書き出しというと、いつも天候の話から始まってしまうわけですが、気象庁から冬コミ直前に出された「大寒波」の予報は、準備会を大いに震え上がらせました。実際、雪などの影響で一部の交通機関に乱れが生じて、当日参加できなかった方もいらっしゃったようです。とはいえ、東京ビッグサイト周辺はやや風の強い日はあったものの好天に恵まれ、寒波というほどの寒さではありませんでした。

  

 こうした天候に加え、いつもの年末の12月29日〜31日の会期の曜日が、土・日・月と社会人が休みを取りやすい日程だったこともあり、1日目・17万人、2日目・19万人、3日目・21万人ののべ57万人と、冬のコミケ過去最高の来場者数を更新することになりました。ソーシャルゲームがとば口となったり、歌ってみた系やコスプレイヤーがメディアの注目を集めたりなど様々な要因もあって、若い層を中心とした新しい参加者が増えた印象がこの一年あります。また、以前は冬に比べ夏コミの方が来場者数は多かったのですが、近年は猛暑の中での開催ということもあり、夏よりも冬コミの来場者数の方が多くなってきている傾向もあるようです。
 そのおかげもあってか、冊子版のカタログの売れ行きも好調で、事前に販売を行っている書店・専門店では開催数日前から完売が目立つとともに、当日販売分も2日目にはほぼ完売しました。

  

 一方で、豊洲市場開場後初めての年末がコミケット開催と重なることもあり、東京ビッグサイトのみならず豊洲市場への主要交通機関でもあるゆりかもめの混雑が懸念されたのですが、手厚い増発対応や事前の告知もあって、ほとんどトラブルはなかったようです。また、国際展示場駅前のロータリー工事の影響で、りんかい線からの参加者の一部導線の変更(『国際展示場駅ロータリー工事によるコミックマーケット95当日の導線・会場周辺献血場所の変更について』参照)がありましたが、誘導の計画を変更することで準備会スタッフがしっかりと対応できたことや、参加者の皆さんのご協力もあり、大きな混乱はありませんでした。
 そんな中、目立っているのは、呼び出しが必要な迷子の増加です。放送は特殊な事情がある場合に限っているのですが、近頃は毎回数回程度放送がかかるようになってきています。「カタログ」にも記載してありますが、はぐれたときには時間を決めて待ち合わせ広場に集まるようにするなどの事前の段取りをしっかりしていただけると幸いです。コミケットは、夏・冬の気候的にも厳しく、多くの参加者で混雑する中での開催となっていますので、子連れでの参加には特に充分に注意を払い、お子さんから目を離さないようにお願いします。
 そして、ついに3会期連続でスリの現行犯逮捕がありました。カタログの諸注意ページ、公式Twitter、当日の館内放送、手持ち看板を掲示したスタッフの巡回、そしてこのアフターレポートと、機会ある毎に参加者の皆さんに「スリ・置き引き注意」の注意喚起をしてはいますが、人が集まるところを目当てにやってくる犯罪者も絶えないようです。繰り返しとなりますが、他のことに気を取られている時、ボーっとしている時などが狙われやすく、ズボンの後ろポケットに差した長財布、口の開いたバッグ(特にリュックサック)が危険です。皆さんの自衛を重ねてお願いします。


 防災公園では冬恒例の「防災公園de献血withコミケ」が初日・2日目に開かれ(3日目の12月31日は防災公園自体が休園)、年末年始の血液の不足を補うための献血や、献血に関するパネル展示が行われました。このイベントへは、コスプレのままビッグサイトと行き来することができ、広い芝生や様々に映える背景が公園周囲をあることもあって、今回も多くのコスプレイヤーとそれを眺めたり、撮影したりする参加者で大いに賑わいました。
 ビッグサイト内のコスプレエリアも盛況で、エントランスプラザ・庭園・トラックヤードには、趣向をこらしたコスプレイヤーが集まり、中にはコミケットと紅白歌合戦を掛け持ちする方もおられました。

  

 毎回こうしたコスプレへの取材を中心に数多く集まるマスコミですが、この年末はちょうど「平成最後」という他の大きなテーマがあったせいなのか、いつもよりやや少なめでした。一般のマスコミのコミケ取材はいわゆる「ヒマネタ」に属する場合が多く、これまでも大きな事件や事故があったりすると顕著に減る傾向にあります。
 その中での注目は、大英博物館の取材です。この冬コミ直前の12月上旬に正式な発表がありましたが、今年5月〜8月、「Manga マンガ」と題した日本国外では最大規模の日本マンガの展覧会が大英博物館で開かれます。準備会もこのマンガ展に協力しており、コミケットや同人文化もその中で紹介されるのですが、そこで展示する画像・映像を撮りに来ていました。彼らの目にコミケットがどう映るのか大変興味深いところです。可能であれば、現地レポートをこの夏のコミケットカタログに掲載できればと現在企画検討中です。
 こうしたメディアによる取材の一方で、昨夏から準備会自らがTwitterでの当日の情報発信を強化していることにお気づきの方も少なくないのではないでしょうか? これまで当日のスタッフ業務の手が空いている時にも行ってはいたのですが、昨夏に取材・マスコミ対応内に新たな専属チームを置き、今冬には人員を強化して、設営日〜最後の撤収まで、様々な角度でコミケットを取り上げてみました。おかげさまで、回を追う毎に多くの方に見ていただいているようです。12個のホールと共用部、屋外と、ビッグサイトだけでも広大ですし、防災公園もあります。コミケットで起きているすべてのことを網羅することはもちろん不可能ですが、参加者の皆さんの目の前以外でも、色々なことがビッグサイトの別の場所では起きていることが伝われば、さらには、まだ見ぬニューカマーにもコミケット当日の会場の盛り上がりを感じてもらえればと思っています。

 Twitterではこうした公式からの情報をお伝えする一方で、救急搬送に関する情報が当日拡散したことに驚かれた方も多かったかと思います。2日目(12月30日)の午前11時30分頃、西地区でサークル参加者の方が倒れられました。直ちにAED、救急車の手配が行われ、駆けつけた救護室の医師が、救急車が来るまで、AEDを使用して救命に努め、速やかに病院へ救急搬送されました。その後、小康状態になるも、残念ながら1月1日午後2時頃に亡くなられたとのことです。慎んでご冥福をお祈りいたします。また、様々な形でご協力いただいた皆さん、ありがとうございました。
 今回はTwitterによる伝播で、当日から多くの皆さんの知るところとなりましたが、過去にも脳や心臓の発作などを起こして当日倒れられ、救急搬送の後、病院にて亡くなった方はいらっしゃったと聞いています(救急搬送後については、準備会の方からはご本人・ご家族に確認ができないため、その後の状況をすべては把握していません。ご理解ください)。コミケ直前の体調管理については、カタログ等でも注意喚起してきましたが、今回ご遺族の方も書かれていたように、日頃の健康管理も大切だということもお伝えしていく必要があるのかもしれません。

 さて、今回のホールの使い方・会場の導線には大きな変更はなく、概ね夏のコミケット94の踏襲となりました。
 前回より西3・4ホールと東7ホールの2ヶ所に分かれた企業ブースは、昨夏の混雑のバランスが西3・4側にやや偏ったこともあり、混雑が予想される企業の配置を東7側に増やし、混雑度合いの平準化を図りました。
 企業ブースの傾向としては、世の中での流行もあってバーチャル・ユーチューバー系の出展が目立った他、コミケ初出展のカネボウ化粧品の「KATE」がコスプレメイクにフォーカスを当てたメイクブックの配布などのプロモーションを行ったり、変わり種としては、同じく初出展の名古屋港水族館のグッズ販売などがありました。
 
 

 また、新たな試みとして、東8ホールに飲食ブースを設けたのですが、特に一風堂のとんこつカレーラーメンは大人気で長い行列ができました。同じく東8ホールには、セブン銀行の移動ATMを設置しました。昨夏のコミケット94ではATMのデモンストレーションだけだったのですが、今回は実際に現金の出し入れが可能で、会期中1000件を超える利用があったそうで、こちらも列が絶えることがありませんでした。これ以外にも、東1ホールのガレリア側シャッター付近にコピーサービスを置き、コピー誌の作成やチラシの印刷・刷り増しをするサークルさんに好評でした。
 『鈴木心写真館』は、東8ホールからリンクスペースに場所を移しました。背景をいつもと変えてみたりと新たな試みもあり、それにあわせて皆さんがアイディアをふくらませたりと、ひと味違った楽しげな写真を見ることができたと思います。

 

 サークルは、曜日ごとのジャンルの割り振りを久しぶりに入れ替え、初日に主としてアニメ・漫画・芸能系、2日目をゲーム・デジタル系としました。初日は夏に続いて『名探偵コナン』、『ユーリ!!! on ICE』が人気で、「コスプレ」なども盛り上がりをみせました。2日目は「TYPE-MOON」『艦これ』というこのところの定番ジャンルが多くの参加者を集める中、「東方Project」の底堅い人気がさすがです。3日目はジャンル的には、男性向、ギャルゲー系、創作(少年)、評論・情報、鉄道・旅行・メカミリ、その他のジャンルと従来と変わらない配置で、相変わらずの混雑となりました。
 2019年夏・冬、2020年GWの3会期は、東京オリンピック・パラリンピックの影響で東展示棟が使えず、青海展示棟に企業ブース、西・南展示棟にサークルを配置することは、すでにお伝えした通りです。ジャンル配置でのもう一つ大きな変更は、その状況を見据えて、今冬から混雑ジャンルを敢えて西に配置し、混雑時のホールの使い方を再検証したという点です。具体的には、2日目の『艦これ』、3日目の「男性向」の半分がそれにあたります。時間帯によっては東西の移動にやや時間がかかる状況であったなど、細かい問題はいくつもありましたが、全体としては次回以降にむけての目算を立てることができました。2019年からの3回のコミケットは、準備会としても大きな挑戦でもありますので、この冬から準備を始めていることについては、ご理解をいただけると幸いです。

 前回からの宅配便その他の搬出サービスの強化については継続して行いましたが、各社ともより便利に、より速く荷受けができるように工夫を凝らしました。(『コミックマーケット95 主にサークル向け直前情報』参照)。ウエストウイング、HakoBookは対象即売会を大きく増やした他、サークル向けの様々なサービスの追加もありました。ゆうパックでは、あて名ラベルの手書き不要、支払いはアプリ内決済で会場での現金のやりとりがなく、料金割引もある「ゆうパックスマホ割」が導入されました。クロネコヤマトは、東8ホールの荷受け所に限ってですが、いくつかの条件の下、荷物に貼り付けた記入済み伝票の1枚目を取り外して、着払い発送専用のカゴ台車に荷物を置くことで発送受付が完了するという仕組みができました。また、だいしゃの王様の無料台車貸出サービス、POPスタンドレンタルサービスも引き続き行いました。どれも参加者の皆さんに好評だったようです。
  

 こうして、コミケット95の会期すべてが終わったわけですが、会期終了後の反省会(準備会スタッフ以外に撤収に協力していただいた一般・サークル参加者も多数参加しています)の質疑応答において、サークルスペースにて「中国人・韓国人お断り」を貼っているサークルがあるとの情報が寄せられました。会期中、準備会はこのような事実は把握しておらず、反省会の質疑で初めて知ったものです。貼り紙の写真などもなく、反省会での発言以外に情報がない状態でしたので、準備会としては「サークルは、自分の頒布物をどう頒布するかを決める。その際、日本の法律に反しないのが1つの線引きである。基本的にはサークルの責任であり、それで批判をうけるのもサークルであり、サークルと一般参加者間の問題である」旨の回答をしました。これは、サークルと一般参加者間の原則論を述べた上で、貼り紙の内容については当然にサークルが責任を引き受けなくてはならない旨を述べたものです。その後、内部での議論を重ねた結果、準備会としては、差別を容認しているわけではなく、このような貼り紙はコミケットという「場」には適切ではなく、今後、準備会として事実を認知した際には、サークルに貼り紙を取り下げてもらうなどの対応を取るべきと考えています。お詫びして訂正させていただきます。

 世の中に「平成最後」というキーワードが溢れる中、コミケット自身もそれを使わなかったわけではないのですが、イベントそのものは、特段いつもと変わることなく終えることができたと思います。これも、一般、サークル、企業、スタッフが、皆それぞれの立場で参加者としてこの「場」を作り、育て、守っていこうという思いで集まっているからこそだと思っています。改めて感謝するとともに、今年からの東京オリンピック・パラリンピックが終わるまでの激変の3会期、どうぞお付き合いいただければと思います。
 ビッグサイトで同人誌即売会および関連するキャラクターコンテンツの展示即売会を主催している各団体が幹事団体となって企画進行中のDOUJIN JAPAN2020ですが、コミケットカタログやエントランスプラザの大型ビジョンで、ロゴマークのお披露目をさせていただきました。海・太陽・緑の樹を連想させる3色の構成や、性別や年齢、ジャンルを問わず、楽しく、盛りだくさんなイメージが湧くようなデザインとなったと思います。公式サイトもこのGWを目処に開設していきますので、今しばらくお待ちください。

 この夏、コミケットは史上初の4日間開催となります。東展示棟は使えず、従来の西展示棟に加え、南展示棟・青海展示棟という新しい会場ができ、有明と青海を跨いだ形での開催となります。一般参加者に参加証(リストバンド)の購入をお願いすることも決まっています(『2020年までのコミケット オリンピックでこれからどうなる!?』参照)。これ以外にも多くの変更事項がありますので、是非ともコミケットカタログ、公式Webサイト等の情報には従来以上に気を配っていただければと思います。最後に、ややヤケクソ気味と思われるかもしれませんが、新しい事にチャレンジすることには面白さもあります。こうした状況すらも楽しんでいこうと思っていますので、繰り返しとなりますが、参加者の皆さんのご協力とお付き合いをお願いします。

(2019年1月14日)


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[Since: Jan. 11 2019] [Last updated: Jan. 14]