コミックマーケット85アフターレポート
- 会場
- 東京国際展示場(東京ビッグサイト)全館
- 会期
- 2013年12月29日(日)〜31日(火)
- サークル数
-
・ | 参加サークル数 | 3万5千 |
・ | 申込サークル数 | 5万1千 |
- 入場者数
-
・ | 29日(日) | 18万人 |
・ | 30日(月) | 16万人 |
・ | 31日(火) | 18万人 |
- 更衣室登録数
-
| 男性 | 女性 |
29日(日) | 1,955 | 7,601 |
30日(月) | 2,639 | 6,583 |
31日(火) | 2,258 | 4,398 |
- 献血数
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29日(日) | 524人 |
30日(月) | 567人 |
31日(火) | 432人 |
- コミケット公式発行物
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- コミックマーケット85カタログ(表紙、星野リリィ)
- コミケットプレス39(表紙、Ti:RIDER)
- 紙袋(大)バーニア600・(小)らいらっく
- マスコミ取材
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コミックマーケット85取材申込一覧
昨夏コミケット84の猛暑から一転、冬のコミケット85はお天気にも恵まれ、穏やかなコミケ日和となりました。救護室の利用も当然とは言え前回比9割以上減、落ち着いたものです。
入場者数は、1日目18万人、2日目16万人、3日目18万人の延べ52万人。今回、会場とも相談の結果、来場者のカウント方法を従来とは変更しており、以前よりやや少なめに数字が出る格好になっています。そんな中、コミケでは他にあまり例がない夏より冬の数字が大きいコスプレイヤーの参加者数は、のべ2万5千人を超えて過去最高を記録しました。単純に割り算すれば、参加者の約5%はコスプレイヤーということになり、女子更衣室の部屋を急きょ増設するなどの対応に追われました。昨夏から始まったコスプレ先行入場も、2回目ということと冬コミということもあってか申込数が増え、更衣室の収容人数一杯に受け入れを増やしましたが、少なからぬ人数が抽選洩れとなりました。一方、新しい試みとしては、東1ホール外のトラックヤードにドワンゴのニコニコカーが出展し、主にコスプレイヤーが出演するニコ生が放送されました。
今回のサークルの傾向として、女性系では、『進撃の巨人』がやはり大幅に増加し、『黒子のバスケ』も増えています。『黒バス』以外にも『ハイキュー!!』が人気を得ていくだろうことも見据えて、このコミケット85でジャンプ系ジャンルを整理し、久々に「ジャンプ(球技)」が復活しました。その他アニメ化で『弱虫ペダル』に注目が集まりはじめました。男性系では、夏に引き続きさらに勢いを増していたのが『艦隊これくしょん』。どのジャンルで受け入れるべきか、準備会の中でもいろいろ議論があったのですが、ゲームなので「メカミリ」ではない、ネットゲームではあるがソーシャル要素はないので「オンラインゲーム」ではない、ということで「ゲーム(その他)」としました(もっとも、「ゲーム(その他)」配置はこの一回だけで、この夏のコミケット86からは独立ジャンルとなったわけです)。また、『ラブライブ!』もサークル数を着実に増やしています。創作系は、最終日が大晦日となる冬コミではいつも、創作(少女)と創作(JUNE/BL)を2日目配置にしているのですが、コミケット85ではこれに加えて、創作(少年)と学漫も2日目配置としました。これには「創作系がまとまって嬉しい」という意見がある一方で、「創作(少年)は男性向やギャルゲーと同じ日の方がいい」というお話もいただいてもいます。
そして、少なからぬサークルの皆さんにご対応をいただいたのは、「ワイセツ」を巡る表現の問題でした。昨夏に成年向けマンガ誌の編集者がワイセツ図画頒布の疑いで逮捕され、その後も、数社の出版社が警察から呼び出しを受けているという一部報道もありました。こうした動きを受け、昨秋以降、成年向けマンガ商業誌において、修正範囲を広げる・濃くする・モザイクをかける等の手法で、性器描写をより曖昧に表現する対応を取っているケースが続いていたこともあり、コミケットアピールや公式サイト(【注意喚起】コミックマーケットにおける頒布物の表現について)にてサークルの皆さんには注意喚起をさせていただき、コミケット85当日の頒布物確認における修正の「目安」も従来よりも厳しいものとしました。状況が非常に流動的なこともあり、印刷会社・サークルの皆さんにも混乱がありましたし、受け入れる準備会もサークルさんをお待たせする等、ご迷惑をおかけしたケースもありました。この点については、次回に向けて手順の見直し・効率化を現在検討しています。
また、今年の4月には、規模の大きい同人誌即売会を継続的に開催している主催団体、印刷会社、同人誌専門店、ダウンロードサイトが集まり、「ワイセツ」表現についての勉強会を行い、状況の再認識と意識合わせを行ってもいます。その上で各社・各団体は、それぞれの判断に基づいて「ワイセツ」と修正についてのスタンスを取っていくことになります。
とはいえ、ある表現が「ワイセツ」かどうかは、社会通念によって変化するだけでなく、絵柄・ストーリー等の要素も影響します。例えば、リアルな劇画調の絵柄と、デフォルメした絵柄では、修正が必要な部位や程度は違うはずです。こうした点を無視して「性器のどこに、どの太さの修正を入れる」という画一的な基準を設けることは、無用な修正を生むことにもつながりかねません。次回に向けても、性器や性交シーンを描写する場合の修正等は、成年向け商業誌全般の状況を目安とし、男性向・女性向の内容を問わず、こうした描写を行う場合、商業誌にアンテナを張り情報収集を怠らないことを、改めてサークルの皆さんにお願いしたいと思います。
さて、前回のアフターレポートでも触れましたが、西4階企業ブースの混雑については、かねてより会場側から非常にご心配をいただいており、昨夏に西4階への入場導線を大幅に変更しました。これにより、西4階の混雑緩和はうまくいったのですが、今度は代わりに導線途中のエントランスホール出入口付近で混雑が生じてしまうという結果となり、コミケット85では、その点も充分な対策を行い、概ね問題ない対応ができました。これも準備会スタッフの指示にしたがっていただいた参加者の皆さんのご協力があればこその結果です。ありがとうございました。
その企業ブースについては、厳しい抽選率が続いています。ここ数年増え続けている一般企業の参加ですが、今回は、GMOインターネット、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン、ディー・エヌ・エーといったIT系企業の参加もあり、マイクロソフトと4社が連携したキャンペーンも行われ、好評だったようです。また、大きな話題となったのは、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンの『エンダーのゲーム』での出展でした。宣伝プロデューサー氏の「今のマーケットは押し付ける“説得”ではなく“共感”して面白いものを楽しんでもらう時代。そんな方々が集まり、その熱量をコミケに感じた」というコメントには、我々も大きくうなずかされました。
冬だけ行っている会場での献血は、西地区の屋外展示場、りんかい線国際展示場駅に加え、防災公園の駐車場の3ヶ所に展開し、今回も約1,500人の皆さんのご協力により多くの血液が集まりました。ありがとうございました。また、今回の献血応援イベントにご賛同いただきポスターの提供をいただいた、アクアプラス、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン、オーガスト、COMFORT、みなとそふと、ヤングキングアワーズ(五十音順)の各社さんには、お礼申し上げます。
この屋外展示場の献血バスのすぐ近くなどに展開していたのが、携帯各社の移動基地局。KDDIは前回の『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』につづき今回は『進撃の巨人』で、NTTドコモも『すーぱーそに子』、ソフトバンクは定番のお父さん(犬)と、ラッピング広告合戦(!?)も賑やか。特にKDDIは調査兵団のコスチュームまで投入する力の入れようでした。
そして、年末にもかかわらず取材も相変わらず多く、中にはアメリカ、イギリス、中国、香港、韓国といった海外メディアも少なくない数が来訪されました。また、作中に同人誌即売会が登場するということで映画のロケのお話があり、犬童一心監督の『MIRACLE デビクロくんの恋と魔法』に協力したり、写真家の鈴木心さんからの依頼を受けて、その撮影をサポートしたりもしました。こうした取材の皆さんや様々なクリエイターの方に、コミケットがどう映るのか大変興味深く思っています。
最後に、既に皆さんもご存じかと思いますが、コミケット85開催直前の2013年12月15日に一連の『黒子のバスケ』脅迫事件の容疑者が逮捕されました。2014年4月9日にはコミックマーケット他への威力業務妨害を容疑として再逮捕され、この原稿を書いている段階では、公判が継続中です。一年以上の長きにわたっての粘り強い捜査の末に、逮捕にいたった警察の方々の努力に感謝申し上げます。とはいえ、こうした脅迫によって、作品の発表の場が簡単に失われることのないような社会であって欲しいと思いますし、準備会もコミケット開催継続にあたって可能な限りの努力を続けていきますので、今後とも参加者の皆さんもご協力をよろしくお願いいたします。
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