コミックマーケット105アフターレポート


会場
東京国際展示場東京ビッグサイト
全館

会期
2024年12月29日(日)〜30日(月)

サークルスペース数
サークルスペース数 約2万9千


入場者数
29日(日) 150,000人
30日(月) 150,000人


更衣室登録数
 男性女性
29日(日)2,388人4,354人
30日(月)2,352人3,526人


献血数
29日(日) 439人
30日(月) 441人


コミケット公式発行物
コミックマーケット105カタログ冊子版 表紙イラスト:美好よしみ
紙袋(大) イラスト:おしおしお


出展企業数
114社


マスコミ取材
 コミックマーケット105取材申込一覧

(2025年1月9日データ部分公開)

(2025年1月20日取材申込一覧公開)


 コミケット87(以下、CXXと略記)以来の10年ぶりの大晦日を外した日程となったC105。当初は恒常的に3日間の日程で冬コミを行うための窮余の策であった大晦日開催ですが、「その日程は非常識では?」と言われつつも始まった2006年からは既に20年近くが経っています。大晦日を外せば逆に会社員が休みにくい仕事納めに開催日程が被ってしまう場合もあり、冬のスケジュールは、前後のバランスを考えながら決めています。それでもできる限り大晦日の開催は避けてきました。働き方がますます多様になる中、コミケットの開催日程が参加者全員のご要望を満たすことは不可能です。東京ビッグサイトでは他にも多数のイベント・展示会が開かれており、設営日含め3日間(ないしは4日間)を全館年2回借りている図体の大きいコミケットには、日程の選択の余地が余りないというのが偽らざる状況です。とはいえ、真夏の開催については多くのご意見をいただいていることもあり、会場の大規模改修工事による空調設備の改善の結果如何によっては、対応を進めていかなければならないとも考えています。そして、過去の大晦日を外した日程は、やはり皆さんが参加しやすいのか来場者数が増加する傾向があるのですが、穏やかな天候にも恵まれたこともあり、今回は両日とも15万人、2日間でのべ30万人という、コロナ禍後最も多くの皆さんに有明の地に集っていただきました。夏とは異なり、救護室の利用者も大変少ない状況でした。ありがとうございます。



 一方でその結果、アニメイト、とらのあな、メロンブックスでのリストバンド型参加証の事前販売分の完売が生じ、ご迷惑をおかけしました。入場待機場所の大きさや大規模改修工事に伴う導線の制約もあり、追加販売等は容易ではないのですが、引き続き対策を検討している状況です。前回も触れましたが、専門店からいただいたリストバンド型参加証の購入者情報及び参加者の携帯電話の登録者情報によると、20歳代以下が約半数ということもあり、若い参加者向けの啓蒙を進めていく必要があると感じており、『コミックマーケットn日目』での一般参加者向けとサークル参加者向け、2つの『コミケ初心者ガイド』もそうした施策のひとつとなります。若い参加者の方々に安全にコミケットを楽しんでもらい、受け手から送り手になってもらうという良い循環を作っていければと考えています。


 また、海外からの参加者は今回も非常に多く、海外向けの電子入場チケットの販売データ及び準備会・国際部の当日の対応記録から、過去最高の76の国と地域からの参加者を確認しています(C104:71ヶ国、C103:73ヶ国、C102:62ヶ国)。その中でのトラブルは、Xのトレンドにもなりましたのでご存じの方も多いかと思いますが、パスポートの紛失が4件もあったことです。コミケットの場内放送で呼び出しは原則行っていないのですが、迷子とパスポート紛失はその例外です。今回は4件とも無事解決しましたが、前回のアフターレポートでも触れた救護室での医師と倒れた外国人の方とのコミュニケーション等、固有の事情による様々なトラブルの増加が引き続き予想されますので、準備会部署間の連携を強化しつつ、対応していきたいと考えています。一般参加だけではなく、海外の方のサークル参加が多くなっているのも最近のトピックのひとつで、コミケットをよくご存じの方もいれば、同人誌即売会とは? というそもそもから丁寧に伝えていかなければならないケースも少なくなく、頭を悩ませてもいます。



 今回の大きな変更事項として挙げられるのは、1日目の企業ブースの閉会を16:00から17:00への延長に戻したことです(2日目は最終日ですので、撤収の関係もあり従来通り16:00閉会)。東京オリンピック・パラリンピック対応を余儀なくされたC96〜C97の4日間、青海・有明地区での分散開催以前の2018年冬のC95以来6年ぶりということになります。
 これには大きく分けて3つの要因があります。1つ目は一般参加者の入場が、入場証券(チケット・リストバンド型参加証)の仕組みになって以後、午後入場で後ろ倒しになっていることへの対応です。午後から入場した参加者がコミケット全体を楽しむ時間を少しでも長くしたいところです。2つ目は、出展企業からの延長復活のニーズです。企業ブースは、1日のみの参加はなく2日間通しの出展であることから、1日目閉会後の搬出入作業があまりないことや、西3・4、南3・4に配置されていることで独立した運用が可能なこと、近年の企業ブースが従来の物販メインの形からプロモーション主体へ変わりつつあること等各種の事情があります。最後は、参加者全体の滞留時間が延び、閉会前後まで会場に残る参加者が増えている影響です。参加者の皆さんが一気に帰宅しようとして、駅周辺の混雑が以前よりも激しくなっていることを緩和させる必要があります。
 この企業ブースの閉会延長と併せて、1日目のコスプレエリアの終了時間を16:30 (最終日は16:00のまま)、更衣室の終了時間を17:30 (最終日17:00のまま)に30分後ろ倒しています。おかげで夕暮れのコミケットのコスプレエリアというあまり見慣れない写真をたくさん拝見しました。
 復活第1回ということもあり、上手くいったこともあれば、定着をみていかなければわからないこともありますが、概ねご好評をいただき、今後はこの形を続けて行く予定です。特に帰宅については、混雑のピーク時間はそれほど長くありませんので、企業ブースやコスプレエリアを覗いたり、会場内外のラウンジ、飲食店等で休憩したりと、参加者の皆さんもオフピーク帰宅をしていただけると、混雑を避けられると思います。


 サークルスペース数は、現在の傾向的にも真夏開催の夏コミより冬コミの方が申込数は多いのですが、申込ベースでコロナ禍後はじめて3万スペースを超えました。多くの申込をいただき感謝しています。ホールの使い方の大枠は従来とほぼ変わりませんが、少しでも多くのサークルに参加していただくため、感染症対策がひと段落したC102以降も、好評につき継続してきた机と机の間隔を空けることを残念ながら継続できませんでした。しかしながら、これにより、2日間で2万9千スペースを確保、1日当たりのスペース数で言えば、過去最大規模での開催となりました。
 サークルの配置ホール(東1〜7ホール、西1・2ホール)と傾向も前回同様です。1日目は、『ブルーアーカイブ』を中心にソーシャルゲームやVTuber系のスペースが賑わっており、2日目は創作系・男性向に人気が集まるという近年の傾向に変化はありません。そういった旬のジャンル以外にも、2日目の「評論・情報」や「鉄道・旅行・メカミリ」といったテキスト系ジャンルに、それぞれ1000を超える多種多様なサークルが集まるのも、創作系、パロディ・二次創作、それ以外の様々なジャンルに、様々なサークルが集まるのも、そこで自由な表現活動が行われるのも、オールジャンルの同人誌即売会であるコミケットの大きな特徴と言えます。

 とは言え、特にコスプレジャンル以外のパロディ・二次創作系で申し込んでいるコスプレ写真集等の頒布物を主体とするサークルの、スペースでの撮影時の映り込みや交流による頒布の遅延、ディスプレイやコスチューム等について、当日の苦情や、アンケートで多くの意見が寄せられています。C106の『コミケットアピール』でも明記しましたが、ポスター等ディスプレイやサークルスペースでのコスプレは、不特定多数の目に触れること、周囲のサークルの頒布への影響を踏まえ、極端に刺激的な表現は控えてください。場合により、準備会の判断で取り下げ等をお願いすることがあります。サークルスペース内、及びその付近での撮影は、周囲のサークル及び他参加者への迷惑にならない場合に限ります。会場内には撮影されたくない、映り込みたくない人もいます。今後もトラブルが多発するようであれば、サークルが配置されているホール内での撮影を制約することも検討せざるを得なくなりますので、まずは参加者の皆さんの自主的な対応をお願いします。撮影をする際は、周囲を気づかった対応・配慮を心がけてください。

 サークル駐車券については駐車場不足を補うために、C104で借りた有明北臨時駐車場に代わって、C105では青海駅近くの青海南臨時駐車場を借りました。ただ、どちらの駐車場もビッグサイトとの距離が離れているのはあまり変わらないため、こちらに割り当てられたサークルさんには、当日朝の会場での荷下ろしを可能とし、会場と駐車場間のシャトルバスの運行する、という前回同様の施策を実施しました。
 また、C105からは、サークル駐車券の申込方法を、郵便振替からCircle.msのコミケWebカタログサークル側からのWeb申込に変更し、サークルの皆さんの利便性を向上させました。ところが利便性が良すぎた結果、駐車券の申込が倍増してしまい、C104においてはほぼ全ての駐車券申込を受け入れることができたにも関わらず、C105では再び抽選率が約2倍という状況に陥っています。そもそもサークル駐車券は自力搬入を行うための手段であるというのが原則です。大変恐縮ですが、サークル駐車場は荷物の多い方が利用できるよう、ご配慮をお願いします。


 更衣室・コスプレエリアもC104を引き継ぎ、更衣室を東8ホール・南2ホールに置き、南1ホール・東8ホール外・屋上展示場をコスプレエリアとする形を取りました。コスプレイヤーも冬のコミケットということもあり、C104から大幅増の2日間のべ約1万3千人となり、こちらもコロナ禍後最高の数で、屋上展示場をはじめとするコスプレエリアも大混雑となりました。コスプレがお目当てのマスコミの取材も多く、会期後の様々なニュース系サイトで取り上げられています。コミケットでのコスプレは、他イベントよりもいわゆる「ネタコス」の割合が多いのが特徴で、素早く時事ネタを拾ったコスプレや、想像もしていなかったような面白ネタには、準備会スタッフも大いに笑わせてもらったり、感心させられたりしています。
 当日のコスプレエリアの『フォトスポット』や『フォトフロップス』を使った撮影企画や、更衣室出口付近でのコスプレ衣装の簡単なお直しコーナー『コスプレさいほうばこ』、事前のSNS告知用の『コスプレ参加表明テンプレート』、といったコスプレに関わる各種の企画を、今回も『コミックマーケットn日目』で告知、展開しました。

 コスプレ関連以外の各種企画も、先にご紹介した『コミケ初心者ガイド』の他、様々な企画を実施しています。特に今回の過去のまんレポ展示ではいつもと趣向を変えて、かつて同人誌の世界で一世を風靡した洋服のブランドである「PINK HOUSE」にフォーカスを当ててみました。当日は、それを身に纏った参加者の皆さんが、展示の前に集まって下さったのは胸の熱くなる想いでした。その他、C105のそれぞれの企画については、『コミックマーケット105 準備会企画フォトレポート』をご参照ください。


 そして、冬の恒例企画といえば、日本赤十字さんによる献血です。会場近くのイーストプロムナードの献血会場では、昨冬をさらに上回る2日間で900人弱もの参加者の方々が献血にご協力をいただいた他、全国の献血ルームでも皆さんのご協力をいただきました。また、恒例の献血された方へのポスタープレゼントですが、今回はブシロード、NEOWIZ、ライトフライヤースタジオ、(五十音順)の各社さんのご協力をいただきました。ありがとうございました。様々な皆さんの正に献血への応援、心から感謝します。


 C102から復活し、すっかり定着した感のあるケータリングも、東トラックヤード、屋上展示場、東駐車場に各種ケータリングカーが展開しました。ラムチョップや豚丼といった皆大好きガッツリ系のお肉に加え、寒い季節にはありがたい各種のホットドリンクが人気で、冬の醍醐味2日目午後限定の年越しそばには、人気サークル並の行列ができていました。こうした毎回の多彩な「コミケグルメ」を楽しみにしている参加者も増えているようです。

 これらの楽しい話題と裏腹に最後にお伝えしなければならないのは、サークル参加者及び準備会への事前の脅迫行為です。当日の当該サークル参加者のスペース付近を念のため警戒強化した上で参加いただきました。また、準備会への脅迫については、警視庁東京湾岸警察署に被害届を提出、捜査をいただいている他、必要な措置を講じてもいます。近年こうした脅迫行為は、コミケットに限らずあるようですが、コミケットはこの種の脅迫については警察・会場に報告、脅迫を受けたサークルの周囲の巡回強化等必要な措置を講じています。今後も、同様の事案については、関係者と連携の上、都度必要な対応を行っていきますので、ご理解とご協力をよろしくお願いします。

(2025年6月12日本文公開)


[Since: Jan.9, 2025] [Updated: Jun.12, 2025]