コミックマーケット103アフターレポート
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会場
東京国際展示場
(
東京ビッグサイト
)
全館
会期
2023年12月30日(土)〜31日(日)
サークルスペース数
サークルスペース数
2万6千
入場者数
・
30日(土)
140,000人
・
31日(日)
130,000人
更衣室登録数
男性
女性
30日(土)
2,078人
3,973人
31日(日)
1,707人
2,678人
献血数
・
30日(土)
425人
・
31日(日)
405人
コミケット公式発行物
・
コミックマーケット103カタログ冊子版 表紙イラスト:
バーニア600
・
紙袋(大) イラスト:
もみじ真魚
出展企業数
・
114社
マスコミ取材
コミックマーケット103取材申込一覧
(2024年1月9日データ部分公開)
コミックマーケット103(以下、C103)は、東京ビッグサイトへの来場に関する制約が大きく緩和されたC102をさらに上回る、のべ27万人(1日目14万人・2日目13万人)という多くの皆さんに集まっていただくことができました。すべての参加者の皆さんのご協力に、感謝いたします。ありがとうございました。
初日は好天に恵まれ、冬にしては穏やかな気候となりました(最高気温15℃)。2日目朝は小雨がぱらついたものの、開場前には雨も上がって時折日も差す天候で、こちらも穏やかな陽気となりました。こうした要因もあって傷病者も少なく、救急車の要請を1件も行うことなくイベントを終えることができました。とはいえ、夏・冬を問わず、傷病者の割合は、体力があるはずの10代〜20代が多いのがコミケットの残念な特徴です。これは、ベテランのコミケット参加者の皆さんに比べ、若い参加者の方々は準備が不足しがちにもかかわらず、体力を過信してしまうということに起因すると考えています。より厳しい夏に向けては、カタログ諸注意(
参考:昨夏のC102版
)や、
コミケ初心者ガイド
、直前の
公式X(旧Twitter)
を参考にして、準備万端でコミケットに臨んでください。
1日目はソーシャルゲーム等のジャンルが配置されたことや企業ブースの初日ということもあり、14万人とC102より来場者が1万人増加しました(2日目は創作系を中心に13万人)。とはいえ、コロナ禍前のように来るだけの参加者を入場させるのは様々な観点から難しく、一般参加者の入場に伴う待機列スペースの制限や会場内の安全確保を目的とした対策を継続しており、いわゆる「フリー入場」を行っていません。チケットは「アーリー入場」「更衣室先行入場」のいずれも抽選となった他、初日午前のリストバンド型参加証も完売となっています。一般入場については、毎回見直しを続けていますが、待機場所の広さの限界(加えて冬コミは年明けの出初め式準備で東駐車場の一部が使用できなかったりもします)が、大きい制約の一つとなっているのは否めません。
アーリー入場、午前入場、午後入場と参加者の入場が続くこともあり、近年は一日中満遍なく参加者がホール内にいて、滞在時間も従来よりも長くなっています。C102同様午後からの来場者もかなり多く、 15 時を過ぎても東地区と西南地区、西南地区の1階と4階の移動がかなりの混雑となりました。また、申込サークル数が増え、従前は入場証券のリストバンドへの交換等を行っていた東7ホールにもサークルを配置したため、これに伴う見直しを行っています。午後入場もC102の反省を受けての対策(午後入場の時間を繰り上げ。事前価格と当日販売価格の差をつけ事前購入に誘導し、当日購入列を短くする)を実施したこともあり、改善ができたと考えています。
来場者の増加に伴い、一部キャリアの携帯電話がつながりづらいという現象がC102から発生しています。通信会社各社に対策を依頼していますが、C103でも完全には解消しておらず、引き続きC104での対応をお願いしていきます。その他、ゆりかもめ東京ビッグサイト駅での改修工事が会期中にも行われ、ホームと改札との間の導線がやや細くなっていました。混雑はあったものの大きなトラブルはなかったと認識しています。
外国人の来場者数も、回を追う毎に増加しています。準備会・国際部の対応記録では少なくとも40以上の国・地域から、海外用電子入場チケットの販売実績からは73の国と地域からの参加者を確認しています。一方で、外国人参加者を含め、新しい参加者の増加は、必然的にコミケットのルールや同人誌即売会のマナーを知らないことに起因するトラブルが増えることにも繋がってもいます。広報・啓蒙の強化が引き続きの課題となっています。
深夜来場者はアーリー入場チケットの効果等もありほぼいなくなっている状況を維持してはいますが、一般参加者の来場時間が少しずつ早まっている状況があり、これがエスカレートすると深夜来場の増加につながってしまうことを準備会では懸念しています。
C103では参加者の来場時間目安を「7:00〜」としましたが、その時間以前に来場される方が増えていることが問題にあがりました。これをうけて急遽2日目の朝において、こちらからお願いしている目安時間以降に来場した午前入場の一般参加者を優先的に会場に入れるような運用変更を行いました。
とはいえ、直前での変更ということも有り、スタッフ間・警備員との連携が行き届かず混乱が生じてしまい、午前入場の一般参加者の皆さんにご迷惑をおかけする結果となったことをお詫びします。申し訳ございません。
深夜来場の対策については引き続き考えていかなければなりませんが、例えばC99〜C101のように細かい時間指定の枠を設けることは、一般待機列に並ぶ参加者を、余裕をもって管理する必要があり、結果、並ぶことのできる人数を大幅に減じてしまうことになります。どのような形で運用するかについては、C103の2日目と同様の混乱を再発させないよう、安全に十分に配慮しての見直し・検討を続けていきます。なお、今後のご案内については、会期ごとの公式Webサイトおよびカタログの諸注意ページ等に掲載いたしますので、都度確認をお願います。
サークルスペース数は、2日間で約2万6千スペース。前述の通り、サークル申込が増えたこともあり、申込完了後に急遽東7ホールをサークルスペースに充てました。1日目の東1〜7、西1〜2ホールのサークル配置で、13,700スペースは1日当たりのサークルスペース数としては過去最大となります。東7ホールは、壁にポスターを貼れないという会場利用の制約があるため、以前東7ホールにサークル配置をしたときと同様に、赤ブーブー通信社さんがお持ちのレンタルポップスタンドをお借りして、サークルさんへの貸出を行いました。ご協力に感謝します。
C102より、a)1サークルで隣り合った2スペース(机1卓分)の申込、b) 1サークル(同一申込責任者)での1日1サークルまでの申込ができるようになり、これを活用するサークルさんも増えています。1スペースにつきイス2脚に戻すことへのご要望が少なくないことも承知しておりますが、どういうやり方が良いかいろいろ検討を行っているところです。
今回も1日目は、マンガ・アニメ・ゲーム系のパロディジャンルが中心。最近の傾向を引き継いで『ブルーアーカイブ』を中心にソーシャルゲームや VTuber のスペースが特に盛り上がっていました。いずれも参加者の年齢層が若めのジャンルであり活気がありました。2日目は、創作系・コスプレ等が配置され、中でも創作ジャンルが賑わいを見せていました。
企業ブースは、今回も西3・4、南3・4ホールを使用しました。ホールが増えたこともあり、1ブースの小間数の制限をC102から緩和しているのですが、物販が中心ながらも各ブースでの企画の幅が拡がった印象があります。サークル同様にソーシャルゲーム、VTuber関連のブースに注目が集まっている最近の傾向に変化はありません。今回は新しい試みとして、女性向けゲームやグッズを集めた「ガールズエリア」を設置しています。なるべく様々な企業さんが参加しやすいように、今後とも工夫していきたいと考えています。
更衣室は、会議棟改修工事でC103から会議棟が使えないことを見越して、C102より会議棟レセプションホールの更衣室を南2ホールに変更し(東8ホールは従来通り)、南1ホール、東7ホールの一部・東8ホール外・屋上展示場をコスプレエリアとしています。前述の通り、サークルを東7ホールに配置しましたが、2日目の東7ホール半分はコスプレジャンルのサークルを配置。残り半分をコスプレエリアとして運用しました。東8ホールが更衣室であることもあり、コスプレ関係がまとまった配置になり、コスプレイヤーの皆さんからもご好評をいただいたように思いますし、コミケットのカオス感をさらに増した不思議な空間という印象を抱いた方も多かったようです。
コスプレイヤーの数も2日間でのべ約1万人と久々に大台を超えました。C102から一般入場後の更衣室でのコスプレ登録が誰でも可能な形に戻したこと、そもそも冬コミは夏よりはコスプレに適した環境なこともあり、想定以上にコスプレ参加が増加し、更衣室の利用を少々お待ちいただく時間帯も生じたようです(ただし、7割以上の方は10分以内に更衣室に入場できたとアンケートに回答をいただいています)。一方で、クロークの待ち時間は長くなっており、クロークを運営しているビッグサイトサービスへは改善をお願いしています。
その他、事前のネットでの『コスプレ参加表明テンプレート』、当日のコスプレエリアでの『フォトスポット』や『フォトフロップス』、C102より始まった更衣室出口付近に簡易裁縫道具を置いたお直しコーナー『コスプレさいほうばこ』といった企画も定着してきたようです。
コスプレ関連以外の各種企画についてですが、事前の情報発信では、
『コミケ初心者ガイド』の一般参加者編
を改訂・充実させた他、Xのスペースでのトークを定期的に行っています。
当日企画では、過去のまんがレポートをテーマ(今回は「食べ物・飲み物編」、「ファッション(冬)編」)に合わせてセレクトした展示コーナーや、『コミックマーケット調査隊〜何しに来たのMAP〜』と称して、参加者の皆さんがコミケットに何を求めてやってきているのかポジショニングマップにシールを貼ってもらったり、充レンさんとのコラボでモバイルバッテリーのレンタルスタンドを設けたりしました。C103の企画それぞれの細かい報告については、『
コミックマーケット103 準備会企画フォトレポート
』をご参照ください。
また、C102より復活したケータリング。東トラックヤード、東待機場、屋上展示場に各種のキッチンカーが並びました。特に、年末らしい特別メニューの年越しそばは大好評だったようです。
そして、冬コミ恒例なのは当日の献血です。会場至近のイーストプロムナードの献血会場では、昨冬を大きく上回る800人以上の方に献血のご協力をいただきました。全国の献血ルームでご協力いただいた方と併せて、『献血応援イベント』にご協力いただいた皆さんには、改めてお礼申し上げます。
最後に、機会ある毎に触れている東京ビッグサイトの改修工事についてです。C103からついに会場の大規模改修工事が始まりました。C103とC104は会議棟が使用できません。2024年冬のC105は工事と工事の間で全ての施設が使用可能ですが、2025年のC106とC107は東1〜3ホールが、2026年のC108とC109は東4〜6ホールが使用できません。準備会としては2024年のコミケットの開催を行いつつ、2025年〜26年にコミケットをどう開催していくか、今から検討の準備が始まっています。工事の対象ではないビッグサイトの施設や近隣の施設とどう組み合わせてコミケットという『場』を続けていくのか、空間と時間を組み合わせたパズルにまたもや挑んでいくことになります。皆さんのご不便にならない形を可能な限り目指していきますが、物理的な限界があるのも、その中でも安全を確保しつつ開催をしていかなければならないのも、厳然たる事実です。この間、今まで提供できていたことが実施できなくなることもあるかもしれません。何度とない繰り返しとなりますが、参加者の皆さんのご協力なくしてコミケットは開催できません。引き続きよろしくお願いします。
(2024年4月19日本文公開)
[Since: Jan.9 2024] [Updated: Apr.19 2024]