コミックマーケット86アフターレポート

会場
東京国際展示場東京ビッグサイト)全館

会期
2014年8月15日(金)〜17日(日)

サークル数
参加サークル数3万5千
申込サークル数4万8千


入場者数
15日(金)17万人
16日(土)17万人
17日(日)21万人


更衣室登録数
 男性女性
15日(金)1,7134,680
16日(土)2,0385,449
17日(日)2,0604,647


コミケット公式発行物


マスコミ取材
 コミックマーケット86取材申込一覧

(2014年8月28日データ部分公開)


 コミケ雲も発生した昨夏の酷暑は、多くの参加者の方が熱中症で倒れる事態となってしまいました。今夏は、準備会スタッフの詰め所の場所をやりくりし、東地区救護室の場所を東4ホールからより広い東1ホールの主催者事務室に変更する等、今まで以上の熱中症対策の上で当日に臨みました。とはいえ、夏前の5月〜6月は涼しかったと思えば30度を越えて暑くなったり、急激に大雨が降ったりの荒れ模様の天候が続きました。一方でエルニーニョ現象による冷夏の長期予報もあり、いったい当日の天気はどうなるだろう? とやきもきさせられました。
 結局のところ、東京の3日間通じての最高気温は33.6度と昨年の38.3度に比べ段違いの低さとなり、加えて風がかなり吹いたこともあり、体感温度はさらに低くなりました。おかげで、救護室利用者は昨年夏比で一桁少なく、持病をお持ちの方の救急搬送以外の救急車の出動もない、穏やかな夏となりました。もっとも、この風は少々強すぎて、誘導用のカラーコーン等が動いてしまったり、テントがやや危険な状況になったりと、準備会スタッフが対応に奔走する状況も一時あったりもしたのですが……。
 幸いにも今年は天候に恵まれたわけですが、来夏がどうなるかは神のみぞ知るところです。準備会としても酷暑対策は続けていきますが、参加者の皆さんも自衛を怠らないようにお願いします。

 そうしたこの夏の入場者数は1日目17万人、2日目17万人、3日目21万人の合計で55万人。昨年比では減ったように見えますが、前回のアフターレポートでも書いた通り昨年冬より入場者のカウント方式が変更されたことが影響しているものと思われます。いずれにせよ、この規模での開催が成り立つのは、査察に訪れた消防の方から「自分が知る限り世界で最も統制の取れた集団ですね」という感想をいただいたことからも分かるとおり、参加者の皆さんの自発的・自立的な協調で成り立っているからこそです。改めて感謝するとともに、今後とも協力をお願いします。
 その他今回のトピックスとしては、会場側の要請により、4年ぶりの8月第3週での開催となったことが挙げられます。お盆休みと重なって、金曜日から休みを取れた方も多かったかもしれませんが、その一方で夏コミから冬コミの日程が1週間短くなったことで、冬コミに向けての準備会の事前作業は(さらに来春のコミケットスペシャル6の準備も重なって)、非常にタイトなことになってもいます。

 今回のサークルの傾向ですが、初日はアニメ系、ゲーム系、芸能系、その他が中心。早々に独立ジャンルとなった『艦これ』は、サークル申込数も多く盛り上がりました。二日目は、ジャンプ系、マンガFC系、女性系の創作、東方Project等。往時よりはサークル数を減らしてはいるものの、東方の地力の強さには目を見張るものがあります。女性系では、アニメ化で急激に盛り上がったのは『ハイキュー!!』。6月のオンリー即売会までそれほど盛り上がりを見せていなかったにも関わらず、夏コミでブレイクしたのは、正直準備会の予想を超えていましたし、サークルさん自身もそこまでの混雑になるとは想定しておらず、搬入数が需要に足りなかったり、混雑の対応に手間取ったりと、だいぶバタバタすることになってしまいました。この他、昨冬以降着実に人気を増していたのが『弱虫ペダル』。コスプレや企業ブース、人間Wi-Fiも含め、非常に賑やかな夏コミとなりました。三日目は男性向やギャルゲー、創作(少年)、同人ソフト、デジタル(その他)等の配置。『艦これ』はこの日も盛況でしたし、『ラブライブ!』の勢いも相変わらずでした。また、デジタル(その他)では、有名歌手の方の参加が大きな話題となりました。事前にコミケットという「場」についてしっかりと学ばれた上での参加でしたし、当日若干の混乱はありましたが、無事頒布を終えることができたのは、ご存じの通りです。コミケットは、運営ルールを守っていただく前提の上で、「すべての表現者を受け入れる『場』である」という理念を掲げる以上、準備会も今後とも最大限の努力をしていきたいと考えています。

 コスプレイヤーはのべ約2万人と、ここ数年継続している「冬より夏は減るが全体として増加方向」のトレンド通りとなっており、夏の過去最高を更新しました。更衣室先行入場もすっかり定着し応募者の数を増やしていますが、前回に続き少なくない数の抽選洩れが出ています。更衣室のスペースの問題等があり、現時点の受け入れ可能な範囲での対応ということをご理解いただけると幸いです。先行入場だけでなく、コスプレイヤーの皆さんからいただいたアンケートも活用し、コミケットにおけるコスプレについて、継続的な改善に努めたいと考えていますので、是非アンケートに忌憚ないご意見をお寄せください。
 そして、コスプレエリアに関しては、正直多分にハプニング的なできごとなのですが、急遽三日目に有明西ふ頭公園(西地区屋外展示場海側の公園)を追加で設定しました。これは、三日目の西地区での車両の駐車に想定外の問題があり、その結果元々のコスプレエリアとして設定していた屋外展示場が使えなくなったことによるものです。この公園は、海をバックに撮影ができるという今までのコスプレエリアにはないロケーションもあって、大変好評をいただいており、次回のコミケット87からは、正式なコスプレエリアとすることにしました。冬は海風が厳しいかもしれませんが、新しい場所でのコスプレイヤーの皆さんの創意工夫を楽しみにしています。

 西4階企業ブースに目を向けてみると、HONDAやKDDI、セブン&アイネットメディアの初出展が開催前から話題となりました。それ以外にもSTOP!違法ダウンロードリターンズ(日本国際映画著作権協会)、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン、雪印メグミルクなど、複数回の出展となる企業もあり、いわゆる一般企業の出展増が定着し、ある意味コミケットらしい「ごった煮」の雰囲気が濃くなっているようにも感じられます。会期中に放映されたテレビ東京系の「ワールドビジネスサテライト」(以下WBS)でも、こうした一般企業にフォーカスを当ててのかなり長い時間枠での特集が組まれました。
 このWBSでの特集中でも取り上げられていた、東駐車場でのコミケット86に引っかけてのTOYOTA86と『頭文字D』仕様のトレノAE86の展示企画は、直前の調整となったため、展示時間が非常に限られたものとなってしまいましたが、それでも多くの方が見学され好評でした。また、熱中症対策の一環として、大塚製薬さんからポカリスエットと経口補水液OS-1のご提供をいただいたり、集英社ダッシュエックス文庫のご厚意による東駐車場一般待機列を中心としての瞬間冷却材の無料配布が行われたりしました。大塚製薬さん・集英社さんには深くお礼申し上げます。
 近年の企業ブースでは、サークルよりも厳しい抽選率となることが常態化していますが、多彩な出展企業を受け入れつつ、従来の企業ブース的な混沌さも喪わないようにしていきたいと考えています。

 前述のWBSに限らず、テレビの取材がこのところ増えているのですが、番組でのコミケットの取り上げ方が、ビジュアルとして分かりやすいコスプレ主体の「埋め草」的取り扱いから、一歩掘り下げた内容のものが目立っているように思います。尺の長さについては、お盆のネタ枯れの時期に大事件もなかったという、身もフタもない事情も影響しているとは思いますが、少なくとも全くの的外れな取り上げられ方は今やほとんどありません。これ以外にも、自動車メーカーが企業出展すれば、自動車の業界紙の取材が来たりと、様々な取材が今回も行われ、特に平日の一日目は、一日当たり過去最高の取材登録を受付し、三日間を通じても海外を含めた多数かつ多様なメディアがコミケットを訪れました。

 コミケの開催に関連して毎回ネットニュースなどで話題を呼んでいるのが、携帯電話会社各社の対策です。移動基地局車の投入やWi-Fiサービスの提供などは各社ともに実施いただいており、参加者の皆さんの連絡手段確保にご協力いただいています。加えて、日中の長時間に過酷な通信環境が続き、しかもそれが三日間に渡るというコミケットは、各社にとっては実験だけでは得られない格好の実践の場でもあり、様々な「新兵器」が実戦投入されています。今回は、ソフトバンクさんが「気球Wi-Fi」を打ち上げたことが話題になりましたが、毎回各社さんがそれぞれに工夫を凝らして、少しでも通信環境が改善されるよう努力されています。こうした、技術面もさることながら、基地局車ラッピング、コスプレWi-Fiさん(注:ソフトバンクさんは「Wi-Fi忍者」、KDDIさんは「人間Wi-Fi」、NTTドコモさんは「Wi-Fiサポーター」というネーミングで総称に困るので、一部準備会スタッフの間では「Wi-Fiさん」と呼ばれています)等プロモーションにも力を入れておられ、「参加者にとってより良いより楽しい環境を作って、一緒にコミケを盛り上げる」という姿勢は、準備会としても大変感謝しています。

 また、プロモーションと言えば、今回経済産業省のご依頼により、当日のビッグサイト入口の大型ビジョンで、「MAG(Manga-Anime Guardians) PROJECT」のスペシャル動画「Thanks,friends」を上映しました。MAG PROJECTは、日本のマンガ・アニメの海賊版対策として、今年度実施されているプロジェクトで、このムービーは古今東西の日本の名作マンガ・アニメから選りすぐりの「ありがとう」シーンを繋いだもので、 観る者の心に自然に「作品への感謝の気持ち」を沸き起こらせる素晴らしい作品です。 コミケットも、こうした様々のマンガ・アニメ・ゲームなどが積み重ねて来た文化への「感謝の気持ち」の上に 成り立っているわけで、ご協力させていただきました。

 様々なできごとがあった夏コミも終わり、準備会は、冬コミ、そして来年3月開催の5年に一度のお祭り「コミケットスペシャル6」に向けて、そのまま全力疾走を続けています。冬コミは6年ぶりに大晦日を外す日程で、しかも一日日が日曜日という大変参加のしやすい日程です。コミケットにやってくる方々が増えることは大変ありがたいことですが、混雑が激しくなればなるほど、参加者の皆さんの協力がより必要となります。
「コミケットスペシャル6」は「OTAKUサミット」と銘打って、25年ぶりの幕張メッセでの開催となります。夏冬とは違う「コミケットスペシャル」は、準備会だけががんばっても限界があり、参加者の皆さんと「お祭り」を一緒に盛り上げていければと思っています。もちろん普段通りでもかまわないのですが、いつものコミケとちょっと違った形で「コミケットスペシャル」を楽しむのも一興かと思います。
 ということでこの冬も来春も、参加者の皆さんの協力なくしてコミケットは成り立たないことを改めて強くお願いして、この夏のレポートを終わりにしたいと思います。
(2014年11月18日本文公開)

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[Since Aug 28 2014] [Last updated: Nov 19 2014]