コミックマーケット79アフターレポート
- 会場
- 東京国際展示場(東京ビッグサイト)全館
- 会期
- 2010年12月29日(水)〜31日(金)
- サークル数
-
・ | 参加サークル数 | 3万5千 |
・ | 申込サークル数 | 5万1千 |
- 入場者数
-
・ | 29日(水) | 16万人 |
・ | 30日(木) | 16万人 |
・ | 31日(金) | 20万人 |
- 更衣室登録数
-
| 男性 | 女性 |
29日(水) | 1,161 | 5,383 |
30日(木) | 1,880 | 5,337 |
31日(金) | 1,547 | 3,282 |
- 献血数
-
28日(火) | 32人 |
29日(水) | 333人 |
30日(木) | 350人 |
31日(金) | 402人 |
- コミケット公式発行物
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- コミックマーケット79カタログ(表紙、的井けるな)
- コミケットプレス33(表紙、野川)
- 紙袋(大)MATSUDA98・(小)犬飼
- マスコミ取材
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コミックマーケット79取材申込一覧
拡張され前回から一般参加者の主待機場となった東駐車場は、海のすぐそばという立地のため、吹きつける海風による体感温度の低下等から病人の発生が危惧され、準備会としての対応が求められました。東駐車場は、周囲にコンビニエンスストアもないため、ケータリングの充実による暖かい飲み物の豊富な提供をおこなうことが、対策の第一だったのですが大いに効果を上げたようです。ケータリングについては、東駐車場に限らずこの1年導入を増やしており、特に西地区の食事事情は劇的に改善されました。混雑や人の多さ故、コミケットは、他のイベントに比して制約も多いイベントなのですが、実は、状況を把握できていないケータリング業者とのトラブルも少なくありません。それでも、参加者の利便性や熱中症や防寒対策の観点がありますので、なるべく今の規模を維持したいと考えています。
こうした努力もさることながら、思いの外の好天に恵まれたこともあり、3日間で52万人という冬の過去最高の参加者が年末の東京ビッグサイトに集ったにも関わらず、救護室の稼働も低く、大きな問題もなく無事開催することができました。
1日目は、主にアニメ系・ゲーム系・マンガが中心で、特に『イナズマイレブン』に人気が集まりました。2日目は、ジャンプ系、FC小説、芸能系、東方Project、女性系の創作系が配置されました。ここ数年の同人誌即売会状況で圧倒的な勢いを見せている東方Projectですが、この冬は、混雑は激しいものの混乱するようなことはなく、東方が呼び込んだ新しい参加者も段々にコミケットに馴染みつつあるようです。3日目は、男性系の創作、ギャルゲー、男性向ジャンルや、同人ソフト系のジャンルです。今回、ビッグサイトに来て初めて、一部の混雑サークルだけではなく、男性向ジャンルのかなりのサークルを西地区に配置しました。これについては、賛否両論があることは承知しています。ひとつの混雑ジャンルを複数の地区に配置することは、混雑緩和の面では有効であるものの、地区間の移動流量は増加しますし、ジャンルとしての一体感を損なうリスクもあります。「西地区」の通路等の狭さも要考慮事項ですし、特定のジャンルが「東地区」や「西地区」いずれかに配置され続けることも、公平性やバランスの面からも検討しなければならない点です。今後のジャンルの配置においても、これまで同じく、様々なパラメータを配慮しつつ、よりよい状況を作り出せるようにしていきたいと考えています。
また、今回新しく試みたのは、東駐車場からの一般参加者の入場導線の変更です。これまでは、東地区への入口が東2・東5ホールだったものを、今回、最初は東2・東5ホール、途中から東3・東6ホールに切り替えました。これは、この数年東123地区・東456地区間の参加者の移動で、ガレリアの混雑が激しくなっていることへの対策として、今回試行されたもので、結果として、切り替えそのものもスムーズかつ混雑緩和にも好影響でした。今後は、今回の方法をブラッシュアップし、より混雑の激しい次回の夏に臨む予定です。
そうした、コミケットの混雑の列が、ヘリコプターから撮影され、TV中継されたのが、2日目、3日目のフジテレビでした。俯瞰で行列を眺める機会など我々準備会もないわけで、TV画面から流れる映像がとても新鮮でした。もちろんそれ以外にも、年末にもかかわらず多くの取材があり、特にNHKは複数のチームがコミケにやってきました。BSで放映されているMAG・ネットでは番組の特集テーマが『コミックマーケットの現在』というもので、様々な視点でコミケットを取り上げていましたが、中でも青森からの初めて参加した10代の少年による女装コスプレ姿のてらいのなさを、微笑ましく拝見しました。その他、企業ブースの出展の関係で、パチンコ・パチスロ関連の取材が増えていたり、JAうご産米の販売風景を取材するため日本農業新聞がやってきたりというのもありました。企業ブースでは、新しい傾向として食品の販売が増えています。今回は、このお米の他、かまぼこ、肉まん、せんべいといったものが売られており、「萌え文化」の広がりがコミケに逆流してきた印象があります。
さて、ことあることに参加者の皆さんに注意喚起していることもあって、既にご存じかと思いますが、現在、ビッグサイトでのコミケットの運営に影響を与えているのが、東京ビッグサイトの大規模改修工事です。今回なぜかやたらとトイレのトラブルが多発したのですが、これに限らず開業以来15年、ビッグサイトの様々なところが傷んでいます。この冬は、会議棟上層階が改修工事で使えないため、男子更衣室を、西地区アトリウムのエスカレータ階段下に仮設しました。仮設ということもあり、「狭い」「暗い」「暗くて化粧ができない」等のご意見をいただいています。次回、改善できるところは改善していく予定ですが、今しばらくご不便をおかけすることになると思います。
そして、運営に大きな影響を与えているもうひとつの問題が深夜来場者の存在です。現在会場側からも、安全上の観点から問題視されており、特に18歳未満の青少年については、条例により夜間外出禁止となっていることもあって、厳しい指摘を受けています。再三お願いしている通り「徹夜は禁止」です。ご理解とご協力をお願いします。
基本的な考え方として、準備会は、参加者の皆さんへの規制や規則をなるべくならば増やしたくはありません。今回、サークル向けの「コミケットアピール」を中心に注意事項等を大幅に見直したのですが、これは、今の時代に即した形で分かりやすく、「参加」する「者」としての自主性と自律にも期待して書き直されている、とご理解いただければと思います。
そう言いつつも、最後に少々困ったエピソードを。以前のアフターレポートでも触れたのですが、最近、ちょっとしたことで参加者同士の喧嘩が増えており、また、些細なことでも直接警察を呼んでしまうということが散見されるのですが、この冬は「本の購入をお願いした人が、自分の本を手に入れてくれなかったから、詐欺だ」ということで警察に110番通報する、という理解を超越したできごとがありました。警察の方も呼ばれた以上、調書を取らねばならないわけですが、呆れ顔だったようです。年に二回の「お祭り」にテンションもあがるのはわかりますが、もう少し落ち着いてほしいと思いますし、何でもかんでも警察に通報すればよいというものでもありません。準備会としては、参加者として、同じ仲間として、参加者同士の問題は参加者同士で可能な限り解決してほしいとお願いする次第です。また、迷子も増えているのですが、保護者としてビッグサイトにやってきた親御さんが、子供とはぐれてしまい、子供の方がよほどビッグサイトを知っていて、どちらかといえば、親御さんの方が迷子、というケースが少なくありません。
こうやって、アフターレポートに取り上げるのは、ある種極端な例には違いないのですが、そうした中に隠れている真実というのがあります。コミケットをわかってやって来てほしい、というのは、毎回の準備会からの願いではありますが、現実にはなかなか厳しいことも否定はできません。しかし、それでも繰り返し言い続け、次第にコミケットの「参加者」として定着してもらうことが大事だと思っています。
かくして、コミケットスペシャルのある慌ただしい年が終わりました。コみケッとスペシャルin水戸、夏コミ、冬コミのすべてに設営日からにお付き合いいただいた一般参加者、サークル参加者の皆さん、準備会スタッフは去年1年間で11日間(!)もコミケを堪能したことになります。ありがとうございました。
今回の開催直前には、とうとう東京都青少年健全育成条例の改定案が可決されてしまい、参加者の皆さんから、事前・当日・事後を含め、コミケットの開催を危ぶむ声をいただいています。しかしながら、改定により不健全図書(有害図書)の範囲が広がったとはいえ、コミケットで販売されている性表現が含まれる同人誌の大半には、何らかの18禁表示がなされています。一方で、ゾーニング等に関する規制については、修正はありません。つまり、これまで「コミケットアピール」にて繰り返しお願いしていること、具体的には、そうした同人誌への18禁表示と、対面販売での18歳未満への成人向け頒布物を頒布しない、ということが守られているならば基本的には問題がないであろうと、準備会としては考えています。
地方自治体を中心に、表現規制への動きは激しさを増しており、2011年も昨年に引き続き、同人誌の世界のみならず、マンガ・アニメ・ゲームへの規制に向けての風が吹き続けることが予想されます。準備会としても、志を同じくする人々と手を携えつつ、この自由な表現の場を守るべく、最大限の努力をしていきたいと思います。皆さんのご協力をよろしくお願いします。
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