コミックマーケット77アフターレポート

会場
東京国際展示場東京ビッグサイト)全館

会期
2009年12月29日(火)〜31日(木)

サークル数
参加サークル数3万5千
申込サークル数5万0千


入場者数
29日(火)15万人
30日(水)17万人
31日(木)19万人


更衣室登録数
 男性女性
29日(火)1,2104,711
30日(水)1,7785,092
31日(木)1,3442,286


献血数(今回より、設営日も実施)
28日(月)43人
29日(火)333人
30日(水)342人
31日(木)392人


コミケット公式発行物


マスコミ取材
 コミックマーケット77取材申込一覧



 開業より15年近くが経ち、施設の老朽化が目立っている東京ビッグサイトですが、昨年より、様々な改修工事が行われています。一連の工事は2011年まで続くようですが、工事の日程とコミケットの開催がぶつかってしまうと、色々と不都合が起きてしまいます。この冬も、東地区のタクシー転回場のゲートの一つが、工事用の施設により使用ができず、車両の誘導に苦労しましたし、東2ホール外のトラックヤードには外壁修繕用のやぐらが一部残る形になりました。ビッグサイトの全館を使い倒すコミケットの場合、通常の展示即売会では問題のない部分の工事でも、大きな問題となる可能性がありますが、そのことが、会場側ですら徹底されないことがあります。今回も、当初の会場との約束では開催までには撤去されるはずのやぐらがなかなか撤去されず、直前にバタバタするようなこともありました。もちろん今後の開催を考えると、施設が刷新されることは良いことですので、しばらくは影響が最小限の範囲になるように会場側にお願いしつつ、しのいでいくことになります。
 設営日の朝は雨まじりの天気となり、加えて前述のトラブルもあったので、波乱なコミケットを心配したのですが、その後は晴れ上がり、会期中はとくに問題のない天候で3日間を過ごすことができました。参加者数は冬として過去最高となったC75と同じ51万人を記録しました。昨年は、インフルエンザの流行による大規模イベントへの影響が懸念されたわけですが、うがい・手洗いの励行や罹患した参加者は来場しないでいただきたいことをカタログ等でアピールしたこともあってか、大きな混乱はありませんでした。
 夏のC76では「東方Project」他の同人ソフト系ジャンルの配置された地区に参加者が集中したことをきっかけに、導線の管理が混乱してしまい、東館と西館の行き来が困難な状態になったわけですが、今回は前回の問題点を検証し、対策を講じた結果、行列解消時間が1時間近く短くなるなど、入場に関しては適切な処置が取れたと思います。しかしながら、「東方Project」ジャンルでは、大混雑する状態が続きましたので、次回はさらに配置的な対処を配慮する予定です。この他のジャンルとしては「ヘタリア」の人気が高く、それ以外では「イナズマイレブン」などに人気が集まりました。
 一方、混雑ではありませんが、準備会として問題視せざるを得なかったのは、コスプレCD-ROMのジャンルです。昨夏頃から一部のサークルで、露出度の高い写真集が頒布されるケースがあったため、今回のサークル向けの案内であるコミケットアピールにて注意を喚起したわけですが、見本誌チェックの段階で基準に引っかかるサークルが続出してしまい、結果、多くのサークルのコスプレCD-ROMに対して販売停止という処置を取ることになりました。コミケットは表現の自由を守っていく立場にはありますが、一方で「ワイセツ図画(とが)」と見なされるもの等、法律に触れるものの頒布は禁止しています。また、実写の場合、絵では問題ないと判断されるような描写でも販売停止となってしまう可能性があります。コスプレCD-ROM等の実写作品や、フルカラーの同人誌のリアルな描写については、性器の一部の露出であってもワイセツ図画に該当するおそれがあります。表現方法には、より配慮をお願いします。
 ここ数年、取材の数は1日当たり100社〜130社という状況が続いています。テレビ東京の『ガイアの夜明け』が「コケッスペシャル5in水戸」のコラボ商品『水戸納豆カレー』を商品化しただるま食品に密着取材したほか、NHK−BSの『COOL JAPAN』、フジテレビ、テレビ朝日等のカメラ取材が入りました。新聞社、雑誌社の取材は定番となっていますが、今回、変わった取材としてJRA(日本中央競馬会)をご紹介します。会内報『たてがみ』に記事が掲載されたので、一般の方の目にはあまり触れる機会がないのが残念ですが、競馬場の動員数が減少傾向にある中、動員の多いイベントに話を聞いてみよう、という取材目的だったそうです。最近はコミケットの認識も高まってきており、コミケットに慣れた方々による取材は、ほとんどトラブルもないのですが、今回、目立ったのは取材許可を得ずに取材類似行為をされている団体、もしくは個人が散見されたことです。コスプレ広場で取材申請のないメディアがアンケートを取っていたり、ニコニコ動画(ニコニコ生中継)等でコミケットを生中継するメディアが複数あったりと、正式な取材申請をせずに撮影しているため、不審者に見られるケースがありました。このような取材に関しては必ず取材申請をしていただくよう要請していきますし、参加者のみなさんもそのような方を見かけたら注意していただくようお願いします。
 それでは、最後に、今回のトピックスをいくつか挙げていきましょう。まず、C76から新たな試みとして始まった会議棟7階ですが、夏と同様にステージイベントの他、シンポジウムとして『日本発コンテンツの創出と海外への浸透が産む日本への理解』を開催し、パネリストとして東京藝術大学教授の岡本英津子先生、外務省の中川勉氏をお招きし、コミケット準備会からは共同代表のひとりである市川孝一が参加しました。このシンポジウムでは、日本を発信元とする文化が海外において高く評価されることは、日本に対する好意的な評価と文化的理解をもたらすことと考えられ、それを支える創作活動と社会環境について学術的な視点から明らかにすることを目的し、活発な意見交換が行われました。
 次に、前回に引き続き、「コケッスペシャル5in水戸」に向けて、水戸側のパートナーであるコミケでまちおこし・みと実行委員会の特設ブースが設置されました。コラボレーション商品『水戸納豆カレー』、『水戸黄門漫遊記 萌ぇ〜さぶれ』の販売を行い、特に『水戸納豆カレー』の売れ行きが好調で完売しました。「コケッスペシャル5in水戸」の開催を3ケ月後に控え、当日に向けての期待感を醸成するのに役立っていたように思います。
 最後に、冬コミケ当日の出来事ではありませんが、カタログや公式サイトでの告知の通り、1月16日より、米沢嘉博記念図書館にて、このC77の見本誌の閲覧提供を開始しました。C77の見本誌の提供を第1期とし、今後は、毎回提出された見本誌を閲覧提供していく予定です。1回のコミケットで提出いただく見本誌は箱数にして400〜500箱に達し、収容面積に限りがあるため、1回ごとに期間を限った形で明治大学に貸し出し、閲覧に供する形式となっています。今回の運用を行っていく中で改善点を洗い出して、皆さんに馴染みやすい環境を整えていこうと明治大学側と話し合っている最中です。手続きの詳細は公式サイトをご覧ください。
 ということで、今回は大きなトラブルもなく、3日間の開催が無事終わったことを大変うれしく思います。2010年は「コケッスペシャル5in水戸」を含めて3回のコミケットの開催ということで、年初から慌ただしく時間が過ぎていき、アフターレポートの公開が大幅に遅れたことをお詫びしつつ、筆を置きたいと思います。
(2010年4月20日)

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