コミックマーケット76アフターレポート
- 会場
- 東京国際展示場(東京ビッグサイト)全館
- 会期
- 2009年8月14日(金)〜16日(日)
- サークル数
-
・ | 参加サークル数 | 3万5千 |
・ | 申込サークル数 | 5万1千 |
- 入場者数
-
・ | 14日(金) | 18万人 |
・ | 15日(土) | 18万人 |
・ | 16日(日) | 20万人 |
- 更衣室登録数
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| 男性 | 女性 |
14日(金) | 895 | 4,502 |
15日(土) | 1,760 | 4,976 |
16日(日) | 1,346 | 2,445 |
- コミケット公式発行物
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- コミックマーケット76カタログ(表紙、七瀬あや)
- コミケットプレス30(表紙、浜田ハマオ)
- 紙袋(大)シノノコ・(小)しめ子
- マスコミ取材
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コミックマーケット76取材申込一覧
1日目18万人、2日目18万人、3日目20万人……。2年間続いた夏ののべ55万人という人出をあっさり超えて、過去最高の参加者数56万人を記録した今回のコミケット。当然ながら、混雑は非常に激しいものとなりました。
まず、外を見回すと、混雑の相乗効果を引き起こしたのは、お台場ガンダムでした。お盆休みとして、そもそもお台場に人が集まりやすい素地があった上に、コミケ参加者も、特に地方からいらした方を中心に、「ガンダムも、コミケも」と企んだ人が多かったようです。初日と2日目の午後はビッグサイトからしおかぜ公園へ向かう人で、ゆりかもめが大変なラッシュとなってしまいました。
次に、会場内においては、2日目の入場導線が大きく乱れてしまい、アンケートやまんがレポートにもたくさんのご意見・ご質問をいただくことになりました。これは、参加者の流入が『東方Project』他の同人ソフト系ジャンルの配置された地区に集中したことをきっかけに、導線の管理が混乱してしまい、その影響がビッグサイトの導線全体に波及してしまったことによるものです。準備会の対応にも不備があり、参加者の皆さんには、大変ご迷惑をかけることになってしまいました。お詫びする次第です。この冬については、前回の問題点を受けて対策を講じ、同じトラブルが起きないように準備を進めています。
ただ、準備会として非常に懸念しているのは、以前から目にはついていたものの、今回のトラブルを契機に、新しく若いジャンルへのバッシングが一気に顕在化したことです。しかしながら、若年層の増加とそれに伴うマナーの低下というのは、コミケットの拡大の歴史において、常につきまとっている問題です。『ファーストガンダム』の時も、『キャプ翼』の時も、『トルーパー』の時も、最初の「ギャルゲーブーム」の時も、繰り返されたこの風景は、「近頃の若い者は……」という言葉が、紀元前数千年前から使われていたというエピソードにも似ています。また、特定の新興ジャンルだけに留まらず、全体的な傾向としても、一般参加者に若い参加者がまず増えて、そこでのコミケット体験から、「自分もコスプレしてみたい!」「自分で本を作ってみたい!」と、さらに進んだ形での参加を望む人たちを、やや遅れて増やすことになってもいます。
コミケットは、常に新しい若い力を受け容れることで、大きくなり活力を得てきました。新しい参加者がもたらすインパクトは、確かにコミケットのある部分を変質させていきます。しかし、その一方で変わらない部分、あるいは敢えて変えない部分も厳然と存在しており、このバランスを取っていくことに、主催者としての準備会の努力のみならず、コミケットという『場』に集まる参加者の叡智があるのだと思います。古くからの参加者の皆さんは、準備会と一緒に、新しく増えた人たちを、「参加者」にしていっていただけたらと思います。
さて、話題は少々変わりますが、低年齢化ということに関連して参加者の皆さんのご心配をおかけし、これまた、たくさんのアンケートやまんがレポートをいただいたのは、1日目に繰り返された迷子放送でした。18時頃に自力で自宅に帰り着いたとの連絡を受けています。当日は、様々な迷子の問い合わせがあるのですが、最近増えて少々困っているのは、親御さんの方がビッグサイトに慣れておらず、子供を見失ってしまい、結果として子供を迷子として呼んでしまうケースです。大変な人混みの中、時間によっては携帯電話も通じない、というのが当日の会場においては、「はぐれたら、X時にZZで」という原始的な対策が、実は一番確実です。
これ以外のことで、アンケートで皆さんから多くのクレームをいただいたのが、西地区のゴミ回収に従事しているビッグサイトサービスの女性職員の非常識な対応についてでした。この話題だけでまんがレポートが1ページ作れるくらいの分量が集まってしまうほどで、皆さんのご意見は、(株)ビッグサイトサービスにお見せして、対応をお願いしています。これまでも、宅配便等に関しては、毎回まんがレポートでのご意見をまとめてお見せして、次回に活かしてもらうように依頼したりもしていますが、様々な事情の結果として「そうなってしまっている」「そうせざるを得ない」ことも少なくありません。今回1日目、夕方からの雨天の可能性があったので、ヤマト運輸の宅配便の荷受け作業を雨用シフトに変更したのですが、結局降雨がなく、ご不便だけをかけてしまう結果となってしまいました。以前、逆に夕立にやられて大変なことになってしまったこともあるため、安全係数を高く取ったのが結果として裏目に出てしまったのですが、この辺の判断は非常に難しいことはご理解ください。
参加サークルの傾向としては、「東方Project」「ヘタリア」「忍たま乱太郎」が冬に引き続いて人気を得ていました。また、アニメ化を受けて再び盛り上がったのが、「戦国BASARA」「涼宮ハルヒ」。芸能系では、お笑いに新しい波が訪れています。ニコニコ動画やpixivといったネットサービスが、新たなムーブメントに大きな役割を果たすことも少なくありません。元々コミケットの参加者は、ネットとの親和性が高く、様々なツールやサービスを使いこなしてきましたが、今後もそういった傾向は続いていくものと考えています。
この他、この夏からの新しい試みが2つほどありました。ひとつは、はじめて会議棟7階の国際会議場を使ったことです。準備会主催としては「コミックマーケットシンポジウム ユーザが生み出す超多様性市場としてのコミックマーケットとその今後」と題したシンポジウムを開催しました。パネリストとして、東工大の出口弘先生、東大の田中秀幸先生をお招きして、日本のコンテンツ文化の特質の一部をコミックマーケットが形作っているのではないか? ということについて、共同代表の一人である筆谷芳行とともに、それぞれのお立場からお話をいただきました。こういう堅いイベントから、ゲームメーカーによるイベントや、アイドルグループによるライブステージなどが行われ、新たな会場の使い方にチャレンジしました。国際会議場を使用したことで、ビッグサイトのほぼすべてをコミケットは使い切ったことになります。会場の改修が予想される中、使える施設をどのように有効活用していくかが、今後の課題になりそうです。
もうひとつは、来年3月21日・22日に開かれる「コみケッとスペシャル5in水戸」に向けて、東4ホールに、水戸側のパートナーであるコミケでまちおこし・みと実行委員会の特設ブースを設置したことです。参加申込書やフライヤーを配布したほか、コラボレーションお菓子の第1弾として、『梅さぶれ〜 夏コミに行ってきました。水戸にも行きます。』の販売を行い、完売することができました。冬にも同様のブースにて、新作も予定していますので、是非遊びにいらしてください。
雨にも祟られず、かといって猛暑でもなかったこの夏。三日目の夕方には、気持ちの良い秋風さえ吹いていました。本来であれば過ごしやすかったはずのコミケットですが、去年夏の手荷物確認に続いて、大きな問題をクリアしなければならない状況となってしまいました。繰り返しとなりますが、この冬については、同じトラブルが起きないように準備を進めていますので、参加者の皆さんのご協力を改めて最後にお願いして、夏のアフターレポートを終わりたいと思います。
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