コミックマーケット75アフターレポート
- 会場
- 東京国際展示場(東京ビッグサイト)全館
- 会期
- 2008年12月28日(日)〜30日(火)
- サークル数
-
・ | 参加サークル数 | 3万5千 |
・ | 申込サークル数 | 4万9千 |
- 入場者数
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・ | 28日(日) | 15万人 |
・ | 29日(月) | 17万人 |
・ | 30日(火) | 19万人 |
- 更衣室登録数
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| 男性 | 女性 |
28日(日) | 990 | 2,982 |
29日(月) | 1,225 | 4,626 |
30日(火) | 1,336 | 2,008 |
- 献血数
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28日(日) | 210人 |
29日(月) | 208人 |
30日(火) | 230人 |
- コミケット公式発行物
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- コミックマーケット75カタログ(表紙、蒼樹うめ)
- コミケットプレス29(表紙、癸ひな)
- 紙袋(大)cocoro・(小)天邪鬼
- マスコミ取材
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コミックマーケット75取材申込一覧
あのあつい夏は一体なんだったのだろう……?
思わずそうつぶやいてしまうくらいに、過ごしやすくトラブルの少ない冬コミケでした。設営日から4日間通しての好天候。冬のコミケではその厳しさがこたえる海風もおだやかで、雨の予報も幸いにも外れました。日程に恵まれたこの冬は、3年ぶりに大晦日を回避しての3日間開催が実現したこととあわせ、参加者に優しいコミケットだったと言えます。
夏に発生した大きなトラブルも、この冬はクリアすることができました。東西間交通については、冬は夏に比べて来場者が若干少なかった(そうはいっても冬の過去最高を更新してののべ51万人なのですが)という前提はありますが、人の流れに様々な改善を加えた結果、概ねスムーズな行き来ができました。エスカレータの規制は夏のままで行われたのですが、特段大きな問題は起きませんでした。前回は、エスカレータ事故直後の開催ということもあって、警察・消防からは大変なご心配をいただいたのですが、今回も「よくやってくれている」という評価を受けています。
また、会議棟6Fの男子更衣室・有料休憩室への行き来も、前回使用できなかったエスカレータが今回は稼働したため、エレベータ待ちの混雑が回避されました。会場側の関連会社であるビッグサイトサービスにより運営されている有料休憩室は、夏は早々に満杯になってしまったのですが、今回は前回比約2倍の席数を確保し、3日間でのべ約4000人の利用がありました。休憩室が活用されると、ガレリアでの座り込みや具合が悪くなる人が減少するため、今後もより良い形での運営を先方にお願いしていきます。
そして、夏から1階レストラン街外庭園という新たな場所に移ったコスプレ広場。カタログでの告知こそ間に合いませんでしたが、今回は、1日目・2日目は屋外展示場の一部、3日目は屋上展示場の一部を、第2コスプレ広場として事前から設定し、負荷分散を図りました。コスプレーヤーの皆さんには、概ね好評で、ロケーションの1階庭園、広さの第2広場と棲み分けがなされていたようです。しかし、有明付近の開発の進行に伴い駐車場事情が逼迫しつつある現状で、これまで駐車場として利用してきた屋外展示場を、将来にわたってコスプレ広場として開放できるかどうかは未知数です。
コスプレ広場に限らず、ここ数年色々な機会を通じて言い続けている「会場の使い方の見直し」は継続的な課題となっています。利用できる時間と空間をどう有効活用していくか、さらに検討を重ねていくことになります。参加者の皆さんのご協力もお願いいたします。
さて、今回も数多くの取材がコミケットにやってきました。珍しいところでは、トルコやカタール(かのアルジャジーラです)、ノルウェーといった国々からの取材がありました。国内では、各テレビ局の報道セクションのチームが概ねやってきて、いつものように「夏冬の風物詩」的な取材が行われました。昨秋からの急速な景気後退を受けて「不況の中でも人が多い、熱い、お金が動く」的な切り口が多かったように思われ、カタログのご挨拶で冗談交じりに触れた「参加者の消費行動に注目が集まることになるでしょう」という言葉がまさに現実となりました。その他、企業ブースでのパチスロの新作発表会にパチスロ関係の雑誌・業界紙が多数集まったりという変わり種もありました。お固いところでは、外務省の方が視察に来たり、同人誌の流通調査ということで大手取次会社の方が来たり、市場調査として包装メーカーの方が来たりといったものもあり、様々な視線がコミケットに注がれているようです。
サークルの動向としては、やはり目立つのはネットの影響です。「東方Project」を中心に同人ソフトは今一番伸び盛りのジャンルですし、女性系でも「忍たま乱太郎」の再ブームや「ヘタリア」ブームにはネットでのコミュニティ的な盛り上がりが同人誌に大きく作用しています。こうした動きは今後も続いていくことになるでしょう。一方で、これだけのコンテンツ洪水の中で、何とかしてファンやネットの注目を集めようと、フックの多い作品も増えています。そうした仕掛けに乗っかった「踊らな損々」ばかりがファン活動のあり方でもないとは思うのですが、皆さんはどう考えていくのでしょうか?
そんな中、今回目立ったのが芸能人のサークル参加です。ここ最近のいわゆるおたくブームのせいで、何かしらのおたくであることを大っぴらにしているタレントさんを多く見受けます。そうした方の中に、コミケットに興味を持って「何かを表現してみたい!」という欲求が起こる人も出てくるのは、ある意味当然の流れです。コミケットは「来る者拒まず」の「場」ですので、様々な方々に参加してもらいたいと思っています。とはいえ、コミケットは、同人活動と商業活動は区別することをサークルに求めてもいます。芸能人云々とは少々違う話ですが、ここのところ毎回、様々な形で企業によるサークル申込があり、そうした申込をお断りしている現状もあります。コミケットのルールを守り、周囲の方々の迷惑にならない形での参加を、是非お願いしたいところです。
その他、最近目立っているのが奇抜なグッズです。これらは、参加申込書やコミケットアピールでの禁止事項に違反をしていない限りにおいては、頒布を止めるようなことはしていませんが、例えば、既成のキャラクターを使ったグッズの危うさについては、既にコミケットアピールにおいても明記しています。また、グッズの傾向によっては、アマチュアのファン活動としての表現物と見なされるかについても難しい場合もありますし、あまりにも特殊な場合、何らかの法に触れる可能性もあります。そもそもコミケットは、あくまでも同人誌を中心とした即売会ですし、グッズの取扱については、はるか以前より頭を悩まし続けている問題でもあります。グッズを作成・頒布されるサークルの皆さんには熟慮をお願いします。
こうした例に限らず、ネット文化にありがちな、即物的・脊髄反射的な『ネタ』の発露が、コミケットでも増えてきている印象があります。単なるネタだけでは、頒布物に対するサークルとしての責任を負うことが難しいようにも思いますし、立ち止まって思考してネタを表現に昇華させることが、実は同人誌の醍醐味なのではないでしょうか?
同様に、一般参加者の中にも(比喩的な意味で)立ち止まって考えてほしい方がおられます。かねがねお願いしている徹夜の禁止ですが、家族連れの深夜来場者(それが、1組や2組ではないのです)の存在には驚かされました。都条例という法的な問題もさることながら、屋外の過酷な環境で子連れで徹夜というのは、通常の子連れ参加の賛否両論とは次元の違う話です。絶対にやめてください。
また、参加者同士のトラブルについては、譲り合いの気持ちを持って、自主的に解決してほしいと思います。例えば、ここ最近「ぶつかった」「ぶつかってない」程度の以前なら「まあまあ」で終わったような少々の諍いがヒートアップして、直接110番通報するようなケースが増えています。準備会スタッフがフォローできなかった場合もあるのかもしれませんが、通報する前に、まずはスタッフに相談してくたさい。自分が被害者だと思って警察を呼んだ場合でも警察に行くことになり、調書作成となると何時間も拘束されます。当然、その間同人誌を買うことはできず、10時から16時までのたった6時間しかない貴重な時間を浪費してしまいます。
様々な例をここに挙げましたが、煎じ詰めるならば、参加者としてコミケットという「場」を理解し、そこでの自分の行為が結果として何をもたらすのかに想像力を働かせ、自律的に行動してほしいということになります。準備会としても様々な機会を通じて(中にはコミケットネガティブキャンペーンという変化球もあったりしますが)、コミケットを語っていきますが、それだけではなく、参加者の皆さんのご協力もよろしくお願いします。そして、おそらくは逆風と順風に揉まれながらとなるであろう2009年を乗り切っていきたいと思います。
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