コミックマーケット73アフターレポート

会場
東京国際展示場東京ビッグサイト)全館

会期
2007年12月29日(土)〜31日(月)

サークル数
参加サークル数3万5千
申込サークル数4万7千


入場者数
29日(土)14万人
30日(日)16万人
31日(月)20万人


更衣室登録数
 男性女性
29日(土)8113,862
30日(日)9095,098
31日(月)1,3062,222


献血数
29日(土)172人
30日(日)171人
31日(月)190人


コミケット公式発行物


マスコミ取材
 コミックマーケット73取材申込一覧



 2年続けて最終日が大晦日となった冬のコミケット。またもや、悪天候の影響を受けることとなりました。設営日の搬入終了後から降り出した雨は、弱まりながらも1日目午前中まで続き、2日目も午後に一時的な雨となりました。いずれの日も搬入時間での降雨はなく、搬入物が濡れることがなかったのは幸いでしたが、2日目は地面が濡れてしまったため、宅配便の受付において雨シフトを取らざるを得ませんでした。また、設営日の夜は、雨に打たれて体調を崩した徹夜組が救急車を呼ぶ騒ぎもありました。こうした安全面の問題からも、是非とも徹夜は止めていただきたいと思います。
 さて、夏のコミケット72は約55万人という過去最高の来場者数だったわけですが、この冬の来場者数は、日程の悪さにもかかわらず、のべ約50万人となり、夏と同じく過去の冬の来場者記録を更新することとなりました。こうしたこの一年の状況は、正直なところ準備会の予想を上回る部分があります。前回・今回とも当日早い段階でカタログが完売してしまいましたし、今度の夏(コミケット74)の申込書セットは、事後通販で完売してしまい、増刷を行ったほどです。企業ブースをはじめとして、館内の混雑も激しいものがありました。NTTドコモ、ソフトバンクの移動基地局の臨時設置により、改善されていた携帯電話の通話状況も、残念ながら再び悪化しています。来場者の増大に合わせて発生した問題に対してどういう物理的な対応を行っていくかも重要ですが、より大きな課題は、前回のアフターレポートにも書きましたが、新しくコミケットにやってきた人たちにいかにコミケットを理解してもらい、コミケットに『参加』してもらうか、ということになります。「場」をコーディネイトする立場として、準備会としても様々なメディアや機会を利用して、コミケットのあり方・理念などについて啓蒙を行っていくつもりです。しかしながら、この問題は、準備会単独で解決することはありえず、同じ場を一緒に作る参加者の皆さんと一緒に考え、そして、進めていかなければならないと思っています。

 こうした規模の拡大にともなって、コミケットの露出の機会も増えるにしたがい、望むと望まざるに関わらず、日本のコンテンツビジネスを支える幅広い裾野の一翼をコミケットが担っている、というように捉えられることも多くなりました。海外からの観光客の集客を期待されたり、日本の大衆文化のエッジのひとつとして海外に紹介されたりもすることが増えています。今回は、外務省の海外向け日本文化紹介ビデオの取材があり、参加者にインタービューしたり、海外メディアへの逆取材のようなことも行われていました。台湾・香港・韓国のメディアの来訪はもはや当たり前ですし、オランダ・ブラジル・オーストラリアといった国からの取材もありました。取材内容も通りいっぺんではなくなりつつあり、北米からはゲイ関連の雑誌の取材、フランスからは『らき☆すた』の女装コスプレに関する取材といった、ベースとなる情報や価値観をある程度共有した上での突っ込んだ取材も増えてきています。こうした取材だけでなく、台湾・香港・韓国等からは、日本国内の友人・知人を介してのサークル参加も確実に増えており、コミケットの様々なシチュエーションにおいて、同人誌文化の国際的広がりを感じています。
 当日のトピックとしては、森林保護募金ポスターの久しぶりの復活があります。森林文化協会からも手ぬぐいのノベルティの提供をいただき、募金者の方に配布させていただきました。地球環境問題というような大上段なテーマを振りかざすつもりはありませんが、同人誌にとって、紙は切っても切れない存在であり、その原材料としての森林の保護に何らかの形で協力していくことは、今後も続けて行きたいと考えています。また、ポスターと言えば、昨夏より通路等の公共スペースの一部に企業のポスターを掲示していますが、今回、二次元バーコードを利用したポスターがあり人気を呼びました。ところが、バーコード読み取りに人だかりができてしまったため、導線上のボトルネックが発生してしまい、しかたなく途中でバーコード部分を覆うことになってしまいました。試みそのものは大変面白いものでしたので、今後も安全には配慮しつつ、楽しい掲示があれば受け入れていきたいと考えています。その他、準備会ではなく、会場側が提供しているレセプションホールの有料休憩所、コンコースの荷物預かりサービス、東トラックヤードのケータリングカーといったサービスも参加者に根付いてきたようで、いずれも盛況だったようです。限られたスペースでどこまで何ができるかは、はっきりとは言えないのですが、会場とも協力しながらできることをできるだけやっていきたいと考えています。
 サークルやジャンルの状況ですが、女性系においては、一昨年の冬より取っている大晦日シフト(主婦層が多く平均年齢の高い女性参加者中心のジャンルを三日目配置から移すこと)をJUNE系だけでなく創作(少女)系にも広げました。昨夏のように特定ジャンルに人気が集中して騒ぎになるようなことは起きませんでしたが、流行りモノのジャンルは満遍なく混んでいた印象があります。その一方で、男性系では『初音ミク』旋風が吹き荒れました。ネットでのブームが起きたのがサークル申込終了後だったので、ジャンルと無関係にあちこちで「ネギが振られて」いましたし、企業ブースにおいてもソフトの発売元を中心に数社で関連グッズが発売され、大人気だったようです。これに限らず、ネットのスピードに準備会の対応がなかなか追いつけないのですが、様々なスケジュールを考えると現在でもギリギリで、盛り上がりを一緒に面白がりつつも少々困ってもいるのが正直なところです。

 最後に、多くの方々が気にされていたであろう、18禁の問題に触れておきたいと思います。10月の新聞報道以来、同人誌即売会の公的施設の利用について様々な議論があり、秋の男性系を中心とする各即売会主催者と各会場側との間で様々な調整が行われ、様々な形で当日の運営が行われたのはご存じかと思います。コミケット準備会としましては、従前より、
  1. 見本誌のチェックによる法的に問題となるおそれのある頒布物への対応、
  2. 参加登録カードの提出によるサークルの意思確認、
  3. 対面販売システムの中での18歳未満への成人向け頒布物を頒布しないことのサークルへの要請、
  4. その他、コミケットアピール等を通じてのサークルへの様々な注意喚起と対応依頼、
という対応を続けており、会場側からもこれらの自主的な措置についてご理解をいただいています。今回のコミケット73においても、基本的にはいつもと変わらぬ形で無事開催することができました。当日は、東京都の青少年課の担当者の方が来訪され、館内をご自分で確認され、準備会も共同代表が上記の自主的対応について具体的に説明を行いました。先方からは、個々のサークルが自主的な対応に取り組んでいることについて、一定の評価をいただきましたが、その一方でいっそうの配慮についても検討を求められています。コミケット準備会としましては、これまでと同様に、今後とも関係当局や会場側とも粘り強く対話を続け、やるべき対応は行い、最大限自由な表現の「場」の維持に努めていきたいと考えていますので、参加者の皆さんのご協力をお願いいたします。
(2008年2月4日)

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