コミックマーケット72アフターレポート

会場
東京国際展示場東京ビッグサイト)全館

会期
2007年 8月17日(金)〜19日(日)

サークル数
参加サークル数3万5千
申込サークル数4万6千


入場者数
17日(金)17万人
18日(土)18万人
19日(日)20万人


更衣室登録数
 男性女性
17日(金)7062,987
18日(土)8214,795
19日(日)1,0762,107


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 とにかくも暑い夏でした。設営日と初日の東京の最高気温はなんと37度。2日目だけは涼しく26度でしたが、3日目は再び32度。余りの暑さゆえ、設営日には机を運ぶトラックの一台が首都高速上でオーバーヒートし、レッカー車でビッグサイトまで運ばれる事態となりました。この影響で、東4ホールの設営が30分ほど遅れましたが、今回も沢山の方々が設営に協力していただいたので、全体としては前倒しで作業が終わり、幸い搬入等に影響は出ませんでした。
 酷暑の影響で一番懸念されたのは、当然ながら熱中症になる人の増加です。晴海時代に酷暑で1000人を越える人間が熱中症で倒れた時のコミケットは、俗に「ジェノサイドコミケ」と呼ばれ、今でも古くからの準備会スタッフの語りぐさになっているほどですが、今年の猛暑はその再来を予感させました。実際、初日の救護室の利用者は、取材中に倒れたカメラマンまで含め、通常のコミケットを遙かに上回りました。この状況を想定し、今回、西の救護室をそれまでの103・104会議室から以前委託コーナーを行っていた102会議室に移し、2倍強の面積を確保したのですが、それでもピーク時は体調を崩して休まれる方が入りきらなくなるほどでした。とはいうものの、晴海時代よりは一般参加者の入場待ち時間が圧倒的に短くなっていますし、晴海会場に比べビッグサイトは屋内部分が遙かに広いこともあり、「ジェノサイド」と呼ばれるほどのクリティカルな状況にまでは至りませんでした。
 関連して、コミケットが最近全く使っていなかったレセプションホール(西地区救護室のロビーはさんで向かいにあります)を用いて、今回から東京ビッグサイト直営による有料休憩所が設けられました。料金500円を払えば、出入り自由、空調完備、座ったり横になってくつろげる場所もあり、軽食や飲物の販売、クロークもあるということで、利用された方には好評だったようです。次の冬のコミケットでも運営が予定されています。また、ホール内での飲食スペース減少を補うために、東123地区、東456地区それぞれのトラックヤードにケータリングカーが入りました。アイスクリーム、クレープ、ホットドッグなどが販売され、こちらも皆さんに評判が良かったようです。これについても、今後継続していく方向で調整中です。

 そして、とにかくも人の多い夏でした。3日間の来場者数は過去最高ののべ55万人。2004年夏の51万人をピークに、ここ数年来場者数が落ち着いていたコミケットですが、その数は正直予想を上回るものでした。いつもの日程より1週間遅い日程が影響したのかもしれませんし、猛暑とはいえ天候にも恵まれたせいかもしれません。ただ、実感として感じられたのは、コミケ「初体験」「初心者」の方々の増加です。メイド喫茶・『電車男』等に関連した「アキバブーム」「オタクブーム」、乙女ロード等を中心とする「腐女子ブーム」で、おたく文化全般が世間の注目を集めるだけでなく、最近の特徴はおたく文化の中で同人誌・コミケットが「ネタ」にされることが多くなりました。いわゆる「聖地巡礼」というほどのことではないと思いますが、そういう影響を受け、コミケットに対する興味が生じているようです。
 コミケ「初体験」「初心者」ということは、つまり、コミケットや同人誌というのがどういうものなのかについてよくわかっていないということになりますし、コミケットや同人誌におけるルールもよく知らなければ、参加者全員がコミケットという「場」を作っていることの意味や意義も理解してない人がほとんどということになります。実際、いらした方の中には、アキバへのお買い物の延長という人もたくさんいて、準備会スタッフだけでなくサークルの皆さんも戸惑う場合があったようです。コミケットは決して「お客さん」には優しい場所ではありません。この「場」でどのように人と出会い、どのように本を見つけ、どのように楽しむかは、すべてその人次第ですし、「お客さん」ではなく、一般「参加者」として主体的に「場」に関わっていかなければ、本当の面白さはわからないかもしれません。そして、そのうち、自分でも何かを作りたいと思えば「サークル参加」する道もありますし、即売会を裏方として楽しみたいと思えば「スタッフ参加」することもできます。
 その一方で、既に「場」に参加している皆さんも、ニューカマーを温かく迎えてください。新しい出会いは、コミケットという「場」の活性化には欠くことはできませんし、「初心者」をこの「場」に仲間として「参加」させていくのは、すでに参加している皆さんだけができることです。もちろん、準備会自身もそのための努力は惜しみませんし、コミケットというのはどういう「場」であるのか、機会あるごとに語りかけていきたいと考えています。
 また、新しい参加者といえば、毎回のようにこのレポートでも触れていますが、海外からの参加者が増え続けています。日本の同人誌文化が広く興味を持たれることは喜ばしいのですが、今回、迷子の呼び出しを何度もすることになってしまいました(幸い、すべて解決しています)。コミケットは、特別な事情がない限り中学生以上の呼び出しは行っていないません。しかしながら、不慣れな土地で迷ってしまうことは理解できますので、このような場合は特例扱いしています。準備会では国際部という部署も設けて、外国人来場者のサポートに当たってはいますが、なるべく自力解決していただけるように、外国の方への事前の情報提供を充実することも考えていく必要がありそうです。

 さて、当日の様子ですが、1日目は、女性系が中心ですが、同人ソフトジャンルを3日目から1日目に移動したこともあって、いつもよりも男性の来場者が相当増えました。アニメ系での、様々な作品の混雑が目立ちました。2日目は「おおふり」と「電王」が通路をふさぐほどの大変な人気となりました。これらのジャンルについては、配置場所が悪かったとのご批判も多数いただきましたが、作業スケジュール上、夏の配置作業には春の新番組の動向をほとんど考慮できません。ネットの影響でブームの初動がますます早くなる傾向もあり、対応が少しずつ遅れがちなのは否めませんが、3日間3万5千サークルというコミケットの規模を考えると、なかなか柔軟な対応が難しいのが正直なところです。
 そして、企業ブースの混雑も初日を最高に非常に激しいものがありました。行列の緩和のため、今まで使用していなかった屋上展示場奥の通称「パルテノン階段」を経由して、西駐車場にまで列を誘導するという新たな試みも行い、一定の成果はありましたが、ピーク時の西4ホールはまさしく立錐の余地もない状況となりました。

 このように過去最高の参加者数のもたらしたインパクトは大きく、ただ夏の一回のコミケットの反省にはとどまらず、東京ビッグサイトという会場をどのように効率的に使っていけばよいのか? という新たな問題に準備会は直面しています。過去10数年、ビッグサイトを使ってきたわけですが、ここで、もう一度会場の使い方を全体的に見直して行かなければなりません。それには空間の有効利用だけでなく、時間を区切っての有効利用ということも考えていく必要がありそうです。本格的な見直しは、来年の夏のコミケットからになると思いますが、参加者の皆さんの協力もよろしくお願いいたします。
(2007年11月14日)

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