コミックマーケット68アフターレポート

会場
東京国際展示場東京ビッグサイト)全館

会期
2005年8月12日(金)〜14日(日)

サークル数
参加サークル数3万5千
申込サークル数4万8千


入場者数
12日(金)15万人
13日(土)15万人
14日(日)18万人


更衣室登録数
 男性女性
12日(金) 6504,550
13日(土) 6504,600
14日(日)1,2503,050


コミケット公式発行物


マスコミ取材
 コミックマーケット68取材申込一覧



 3月にコミケットスペシャルを開いたこともあって、夏のコミックマーケット68の準備は4月に入ってからスタートしました。りんかい線国際展示場駅そばにできた癌研有明病院の4月からの開業が大きな変化でしたが、それ以外は、04年と周辺状況は変わらないということで準備は進められていきました。ところが、6月に入って、ワシントンホテル前のA駐車場が、通年一般営業という方針に変わって、コミケットには貸せないということが知らされました。ここは、サークル駐車場と救護BOX、外救護詰所などに使用していたところです。また、一般参加者列、仮設トイレなどに使用していたTFT横のG1地区は、建設中のホテルの資材置き場となっており、ここも借りることができなくなってしまったのです。サークル駐車場、場外救護所、仮設トイレなどの位置の変更は、アピール、カタログに間に合わない形で、コミケット68は当日を迎えることになってしまいました。指定場所からそう離れていない場所にBOXやトイレは設置できたこともあって、混乱はありませんでしたが、これまで以上に周辺で使用できるスペースは限定されてしまいました。
 そうして、迎えた当日。設営日は大きなトラブルもなく進行しました。問題は天気だけです。12日も13日も雨の予報が出ており、宅配便の受付をはじめとした雨シフトをしくかどうか、予報は微妙な状況です。結局、雨はかなり早く降り出し、宅配便の引き渡しは雨シフト、昼前からは雨があがったこともあって、受付は通常シフトで12〜13日を行うことになりました。11日の夜22時頃から深夜帯、かなり強い雨が降りましたが、始発電車の時間以後は小雨となり、開場時間頃にはあがり、参加者にとって最悪の天候というわけではなかったようです。ただ、深夜3時頃から業務を開始したスタッフには厳しかったし、深夜来場者にとってもかなりつらかったという話です。雨模様、曇りという天候もあって、心配されていた日射病などの熱中症などにかかる人は少なく、3日間を通じて、小さなケガなど外傷の人が多かったと救護室からの報告は伝えています。ただし、3日目の14日は、日差しが戻ってきたこともあって、そうした症状の人も出ました。3日間ムシ暑かったというのが、今回の夏コミだったようです。
 1日目、来場者公式発表15万人。まんべんなく混んでおり、これまでより子連れ参加、親同伴の参加者が目立っていました。西地区のエスカレータが数回ストップしましたが、来場者が多く負荷の多いコミケットでは、既にお約束となっており、復旧もスムーズに行われたようです。この日には、場内放送で男性の声が流れました。放送部の強化のため、今回数人の候補者にテスト生として放送を手伝ってもらったためです。いかがだったでしょうか?
 2日目、公式発表15万人。開場前、一時ゆりかもめが信号異常でストップしたということの他、大きなトラブルはありませんでした。イーストプロムナードの一般列は1日目より少し短かったのですが、列が消えてからもダラダラと入場者のカウンターは増えていきました。落ち着いた雰囲気があったのは、並ばずに入れるようゆっくり来る参加者が多かったからもしれません。この日は東京湾大華火大会開催による道路規制が16時頃から行われることもあって、一般が引けるのも少し早かったように見えました。
 3日目、公式発表18万人。天気が良くなったこともあってか、朝早くから一般の列は伸び、車で来るサークルも多いため、周辺通路もかなり騒がしい状況でした。開場と同時に一般の勢いもすごく、場内の混雑もかなりのものとなりました。ただ、ここでもコミケ初参加の人が増えているようでした。TVの「電車男」効果も少しはあったのではないかと言われています。なにしろ、設営日に放映された回ではコミケという言葉が何度も出てきたといいます。−−それでも、全体的に混乱もなく、トラブルも少なかったようです。
 今回目立ったのは、オーストラリア国営放送局、上海ケーブルTV、ドイツ、スウェーデンなど海外からの取材が多かっただけではなく、コスプレ広場ではイタリアのコスプレイヤー、撮影者、インドのコスプレイヤーなどが参加していたことです。名古屋で開かれたコスプレサミットの影響もあったのかもしれません。また、マサチューセッツ工科大学のアニメクラブも取材という形で来場していました。こうした海外からの注目に加え、昨今マスコミで取り上げられている「萌え産業」「おたく経済」などの影響もあってか、そうした視点による取材、「アキバ系」「電車男」といったモチーフからコミケットに来るマスメディアも多かったようです。比較的認知度が上がり、以前より好意的な視点、マジメな取り組みも増えています。もちろん、だからといってコミケットが変化するわけではありません。対社会という図式ではなく、コミケットそのものがさらなる社会性を獲得していく必要はあるにせよ、コミケットの目的や理念、在り方は守っていきたいと思っています。
 神奈川県で打ち出された「ゲーム規制」、奈良県の児童ポルノ単純所持罪条例、秋葉原の浄化運動、社会全体への表現規制への容認といった状況の中で、表現することの楽しさ、意味、そして権利の場をどう確保していくか、自由な場であり続けることそのものが抱える問題は、解決されていないし、続いていくのかもしれません。描き、語り、伝えること、他者の表現に触れ、読み、考えること。そうした他者との表現を通じたコミニュケーションこそが、健全な青少年の育成に通じるものであるはずです。−−とりあえず夏コミは無事終了しました。そして、準備会は、冬コミに向けて早くも活動をスタートさせています。
(文責:米沢嘉博)

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